ZEH?HEAT20?家の省エネ基準を解説
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今日は家の省エネ性能(断熱性能)の基準を解説していきたいと思います。
暖かい家を作りたいけど、断熱の性能とか省エネ性能とか、いろんな言い方がありますよね。どれが一番良くてどれが一番アカンのかわからない方もいらっしゃると思います。そいうった方に向けての解説になります。
僕のスケッチを見てください。
何パターンかの基準があって、下に行くほど性能が高くなります。省エネ性能が高い、とか、断熱性能が高いという風に見てください。
基準は低い順に言っていくと、まず最初に挙がるのは「平成28年度基準」です。今の家づくりにおける最低基準ですね。
この「平成28年度基準」というのをもって断熱等級4と言います。
断熱等級4と言ったら 1・2・3・4とあって、この4が一番高く感じられますが、実際は、いま家を建てるなら「最低でもこれは守ってね」というような基準になります。
続いて、ZEH仕様が出てきます。ZEH(ゼッチ)はゼロエネルギーハウスの略です。ハウスメーカーさんでよく聞く言葉です。一般的には外皮強化基準と言います。
ZEH仕様は行政が言ってる言葉になります。次にに何が来るかと言うと、HEAT20というものです。
HEAT20については、よく知ってる人もいるし、「HEAT20って何?」という反応に分かれると思います。
HEAT20というのは、建築とか断熱に詳しい人、専門家が集まって作っている研究会の総称です。ちなみに今は一般社団法人になっていて、20年先を見据えた日本の高断熱の住宅をしっかりと研究する会の総称を英語で書いたときの頭文字を取ってHEAT20となります。諮問機関というか会のような感じです。
ここの会が出してる基準をHEAT20基準と言います。その中でG1から始まって、G2仕様 、最近はG3というのも出てきました。G1よりG2、G 2よりG3という感じで、どんどん性能が上がっていきます。
これらを国の基準と照らし合わせていくと、HEAT20のG1仕様というのが、ZEH基準の次に良い基準(性能が高い)と言われています。
さらに ZEH基準にZEH+なんていう言葉が最近出てきました。簡単に言うと、ZEH基準から外皮基準をさらに強化した基準になります。相関的に言うと、次に高い基準はHEAT20のG2グレードになります。
今の時代における、ある程度高性能な家というのは、このHEAT20のG2グレードになります。そして昨今は、さらに高い水準をということで、HEAT20のG3グレードという基準が仮で決まりました。これからさらに詰めていって固まっていく予定です。
こういうところが断熱の基準・省エネ性能の基準ということになります。
なので断熱等級4というのは、今や一番ベースとなる基準になります。最低基準という言い方はしたくありませんが、これ以上に下はない基準なんだと捉えてください。
たまに大手のハウスメーカーさんの若い営業さんなどが、「断熱等級4以上でZEH基準だから最高なんです」と言っていたりしますが、それは間違いで、それ以上の基準はいっぱいあります。
僕は「お金がなくて予算をグッと詰めなアカン」という場合でもG1グレードは満たす家づくりをしてほしいなと思います。G1グレードを満たす家は冬の時期、快適です。それ以上になるともっと快適になりますし、さらに言うと光熱費が安くります。
G2基準は満足感がすごく高いですが、G1よりは金額が上がります。
今は家を建てたら30年以上住む人がほとんどだと思います。「30年住むということを考えたらG2にしてね」というのが、おじさんのお節介なアドバイスになります。
G1とG2の間にZEH+というのが入ってくるという感じで思ってください。
この並びを知っておいていただくと、「うちの家は値段と性能のバランスどんな感じなんやろう?」ということが判断できるはずです。
ちなみにUA値と言って、外皮の平均熱貫流率を示すものがあります。
このUA値の数値としては、平成28年度基準、一番ベースになるのがUA値=0.87になります。
日本をエリア分けしたとき、だいたい本州は5地域・6地域、沖縄は7地域、東北とか長野とか北海道のように寒さが厳しい地域は1・2・3・4地域になります。
この UA値=0.87って最低基準だから「性能としてはあまり良くないんですか?」と気にされる方がいます。そういう方に向けて知ってほしい言葉に「次世代省エネ基準」というものがあります。ちょっと昔に家づくりされた人とかは聞いたことがあるかもしれません。
「次世代省エネ基準」って、言葉の響きがかっこいいですよね。僕も次世代省エネ基準の家に憧れたことがあります。
でも、この「次世代省エネ基準」というのは「平成28年度基準」と、ほぼ一緒なんです。ということは、今や次世代省エネ基準が最低でも守ってほしい基準であるということです。
昔は「日本の住宅は性能が低い」と言われていたので、だいぶ頑張って業界の水準・国の基準を上げてきたという背景があります。その背景を知った上で、業界の水準・国の基準よりさらに良い基準はというとHEAT20 G1かなと僕は思います。
ただ、この基準を言われてもピンとこない人は、暖房期(冬期)を家で過ごす際に、最低何℃を維持できればいいかな、ということを考えてみてください。
本州の多くが該当する3〜7地域で、かつ平成28年度基準の家なら、おおむね8℃ぐらいを下回らない感じになると思います。
8℃はちょっと寒いかもしれませんね。僕としては10℃は欲しいなと思います。
ただ、この前提で考えると8°C以下にはならないような仕様になっていると思います。
G1になると、最低温度は10℃に、G2になると15℃になります。結構いいですよね。15℃と言ったらパジャマで寝て、朝カーディガンを羽織れば「うぅ寒い!」となることは、まずないです。体感値として1つ目安にしておいてください。
暖房というのはたいてい部分間欠暖房と言って、部屋の一部分を、暖かくしたいときだけ暖める使い方をしていると思います。寒い時にリビングだけ暖房をつける、というようなものですね。この使い方で1日中10℃を下回らない家だと、暮らしやすい家になるはずです。
欧米とかでの暮らしが長い方だと、物足りないかもしれません。でも、ずっと日本で暮らしてきた人の感覚であれば「これで充分」と思える目安になっているはずです。
もっと言うと、若い方で「うちの家は本当に暖かいです。満足です」と言ってくださるのが、15℃を下回らないものになります。冬期に最低でも15℃をキープできると“いい家”という感じですね。
ちなみに暖房負荷と言われている、エネルギーの消費量についてもお話ししたいと思います。
平成28年度基準を100%としたら、G1はエネルギー消費量60%になります。40%もダウンするのですごいですよね。G1の家は平成28年度基準の家と比べて、イニシャルコストが高いですが、暖房のエネルギーの消費量が4割も下がるので、最初に掛かったコストを回収していける、という形になっています。
G2になるとエネルギーの消費量は45%になります。平成28年度基準と比べて半分以上、55%も減るんです。G3になるとエネルギーの消費量は25%になります。75%も減るんですね。
基準があがるにつれて、暖房負荷は100%→60%→45%→25%と、どんどん下がっていきます。
性能を上げたらイニシャルコストという建築費用って上がりますよね。一方で家は建てて終わりじゃないです。何十年も住みます。住んでる期間、光熱費で回収していって、ハッと気がついたら、高いと思っていた家が実は安かったねというのが省エネの面白いところです。だから国も推奨しているんですね。
古い家になっても暖かい家は価値が下がりにくいと思いません?
昔は「木造の家は25年で建て替える」なんて言われてましたが、そんな時代は終わったと思います。これからは50年近く住むはずです。手入れしていったらもっと長く住めるという時代になっています。
断熱の改修というのは、「あとですればいい」と考えると手間がかかって大変です。なので最初からグレードを知っておいて選んでもらうのがいいです。
イニシャルコストのことだけ考えてしまった結果、住んでから損するより、資金計画を上手に考えて頑張るほうが得策だと思いますのでね。
もう1つ重要な性能値についてお話しします。
ここまでは外の壁や屋根、基礎とかの断熱性能についての話でした。
ここからは省エネ基準とはまた別の基準で、C値と呼ばれる気密化の度合いについての内容になります。
今回紹介したHEAT20の素晴らしいところは、このC値に関しても言及してるところです。
最近のHEAT20の研究会では、C値=0.9以下がいいよね、となっています。もっと細かく言うと0.7 ±0.2ぐらいになります。昔はC値=1以下でした。
0.7 ±0.2なら、C値=0.9まで入りますが、気密性能というのも劣化があります。2〜3割は落ちてくるので、最初からそれを想定してC値=0.7前後、±0.2ぐらいの範囲で施工します。こういった形で気密性能を確保すると、換気が上手にできて、隙間風は全然入らない、いい感じの環境が作れます。1つ目安ですね。
「ZEH仕様ですがC値はは測ってません」という住宅会社さんがあったりします。これは外皮のことだけしか考えていないので、“いい家”というには不十分です。
今回の動画を見られた方は、省エネ基準のランキングが分かったと思います。一方でC値も大切な数値になりますので、実際に家づくりを進める際は、担当される住宅会社さんに「どういう風になってますか?」ということを必ず聞いてください。
UA値とC値というのは両輪です。なのでC値がちゃんとしていないと、UA値がどれだけすごくても、僕の経験ではあまり効果はないです。暖房が効きにくい家になります。絶対に忘れないでください。
その上で最後に日射取得の話もします。日射取得は、冬場に太陽をどれだけ上手に取り込めるかということです。そのために南面の窓をしっかり大きく取ることが重要になります。日射取得がよく考えられている家は、同じUA値の家よりも暖かいです。
冬の時期、太陽が上手に取り込めたら家は暖かくなります。しかも太陽の熱は無料なので光熱費も安くなります。家づくりの基本中の基本になりますが、日射取得についても、ぜひ知っておいてください。
今回の動画は「技術的なことようわからへん。でも暖かい家が欲しいです」という方にこそ見てほしい内容です。ご主人や奥さんにも一緒に見てもらって、自分たちの家はどの基準なのかチェックして、夫婦で協力しながら暖かい家をつくっていただけたらと思います。
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