ウッドショックのその後をお話します
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今日はウッドショックのその後についてお話をしたいと思います。
今年の4月頃ニュースなどでウッドショックという言葉をよく聞くようになりましたよね。そのときに僕は動画でウッドショックの概要と、その時点での今後の見通しみたいなことをお話しました。あれから5ヶ月経った今、ウッドショックはどのような動きになってるのかをお客様からご質問をいただいたりしています。今回もかいつまんだ話になりますが、僕なりの見解も一緒にお伝えできたらと思います。
まず「ウッドショック」って今年に入ってから起きたと言われています。一番困っているのは家づくりの現場で木材が入ってこないこと。次が木材の価格が高騰していることです。3月ぐらいから、こういったことが顕著化してきて、4月に上棟を予定していた物件が徐々に影響を受けるようになってきました。
木材が入ってこないですから、上棟を1ヶ月延ばしたとか1ヶ月半待つことにしたという方がとても多かったです。総じて言うと、特に小規模の工務店さんに対して材料の回りが悪くて、ある程度規模が大きい住宅会社さんは、なんとか間に合わせてギリギリやったという感じがあります。で、このウッドショックがあって、木材の価格はジリジリ上がってきました。
モリシタは兵庫県の姫路市という所で工務店をやっています。で、全国にいる僕の友人の工務店に、木材のコストはどんな風に変わったのかを聞いてみました。(これはきっちり統計を取った結果ではないので、そこはご了承ください。)
価格は全国的にバラつきがあるように思いました。東日本はコストが上がったけれど、そんな極端に上がったようではなさそうです。中部地方も同じ感じです。中部地方って岐阜県も含まれていますよね。ここは木の産地で、産地が近いエリアですから、そういった背景があって、極端には上がらなかった、ということもあるのかもしれません。で、一番影響を受けたのはどうやら関西みたいです。つまりモリシタがあるエリアですね。広島あたりまでは結構影響があって、九州の方に行くと関西よりは影響が少ない感じでした。
木材の価格が今年の3月ぐらいまでが平常価格だとして、30〜35坪ぐらいのお家を建てるとしたら、3月以降は1坪あたり約2万円強上がったところが多かったです。35坪の家なら材料代だけで70万円ぐらいは上がったということです。
ただ、この金額も地域とか会社によって強弱があります。70万円で済んだところもあれば、100万円になってる所もあるというのが現状です。この価格は8月・9月という、そう遠くない未来の見込みで言うと、まだ上がっていくと言われてます。秋口に向かって今度は1坪あたり4〜5万円ぐらい上がっていくんじゃないか、というのが僕の見込みです。
この金額はあくまで僕の推測です。産地の方と繋がりが強くて、内地材を使ってる所に関しては、そんなに上がらない可能性もあります。一方で輸入系の物を使ってる所に関しては大きく影響を受けるはずです。そういったバラつきがあります。
ここからは1つの見立てとして聞いてくださいね。
1坪あたり5万円上がったら、35坪の家を建てる場合、材料費だけで175万円 上がります。3月〜7月に70〜100万円だったものが、7月〜9月になると175〜200万円ぐらいになるわけです。この金額すごいですよね。僕たちも目が回りそうです。モリシタでは自分たちで吸収する努力もしていますが、お施主様にご理解いただいて差額に関しては一部ご負担を願いたいと言ってるのが現状になります。
ストックをたくさん持っていたり、仕入先が非常に強い会社さんで影響が少ない場合もあれば、「うちは他より材料が手に入れにくくて大変」という住宅会社もあるはずです。この現状も会社によってバラつきがありますから、あくまで一般論という風に捉えていただきたいと思います。
じゃあ、この金額上昇がどこまで続くのかというと、短くても11月・12月ぐらいまでは続くと予測しているひとが多いです。僕らみたいな住宅会社むけに、木材業界の新聞があるんですね。そういったところから情報を追っていると、そんな感じがしています。
価格は200万円単位ぐらいで上がってても不思議じゃなくて、それが標準やと思っといてもらった方がいいのかなと思います。
先日、お客様にこのようなこと質問されました。「アメリカの木材の先物市場で暴落して半分ぐらいになったというニュースがありましたよね?そこから金額がもっと下がったとも聞いてるので、材料費も安くなってないとおかしいですよね?」といった内容です。確かにそういったニュースはありますが、それはそのタイミングで金額が下がっただけなんですね。このニュースよりも前に仕入れが決まっていたものに関しては、これから、その高い金額で仕入れた木材が日本に来る、という段階なんです。なので先物が落ちたからといって、僕たちの現場で使う木材にもすぐ反映されるかというと、そんな単純ではないんです。
このニュースでもう1つポイントになるのが、暴落した木の種類です。SPFといわれるものになります。スプルース・パイン・ファーというそれぞれの樹種の頭文字から来ています。白っぽい木のことですね。これらの木材は下がりましたが、それ以外の木、例えば国産材の杉とかヒノキのようにわりと有名でみんなが好む樹種の価格は全く下がっていません。むしろどんどん上がっています。
一般の新聞では、先物の内容が掲載されていますが、そこで価格が下がったとしても市況の中の一部でしかないということは、頭に置かれたほうがいいと思います。
じゃあ「値段は永久に戻らないの?」と言うと、これは正直、僕にもわからないです。
おそらく次の動きとしては、またグッと価格が上がるんですけど、緩やかに値下がりしていくと思います。値下げってタイムラグがあるので、時間をかけて変わっていくんですね。僕は多分そうなるんじゃないかと予測しています。でも、この意見も僕の勝手な予想です。
ウッドショックに関して、今の僕が気にしているのが来年の1月以降についてです。ここからどう変わるのかなと思っています。ただ来年の1月以降、どうなっているかは断言できません。価格が下がることも、今と同じなのも、より高くなることもあり得ます。(僕は当面横ばいかなと睨んでいます)
今って木材だけでなく、鉄などの材料も結構値上がりしています。なので家づくりに関して、金額が高くなっていく傾向は、しばらく続くと思います。
こういう話をお客様としていると「じゃあ家づくりは当面やめた方がいいんですか?しばらく待ってた方がいいですか?」と聞かれます。これについてもケースバイケースと言いたいところですが、それだと動画を見てくださっている方ががっかりしてしまうとと思うので、僕なりの考え方をお話したいと思います。
おそらく、100万〜200万と上がったものが元に戻るということは、当面ないと僕は思います。その上で今後また200万〜50万と上がって、一旦落ち着いて少し下がって、仮に150万ぐらいになる時期が来たとしたら、この時期に建てたいと思いますよね。ただ、こういった価格の変動は、少なくとも1年ぐらい経過しないと読めません。そういう見込みができるのであれば、そういった選択もあると思います。
ここで僕が1つ申し上げたいのは、みなさんが今お住まいの場所のコスト、つまり居住コストがいくらなのかを考えていただきたいんです。
例えば今、自分たちが古い家を持っていて、そこに住んでいるケースもありますよね。その古い家を建て替えたいという人ならば、建物の居住費って固定資産税以外は、そんなに掛からないはずです。なので価格が下がるのを待つという戦略もアリやと思います。
一方で借家暮らししてる人、賃貸住んでる人であれば、姫路の場合、毎月7〜8万掛かっている人が多いと思います。仮に家づくりを1年待ったら、今のところに住み続けるために約100万弱ぐらいのお金が必要なんですよね。1年後、家づくりの価格がどう変わっているかはわかりません。なので、この2つの金額を比較して、そこまで差がないと思うのなら、その人の人生のスケジュールを優先されたほうがいいと思います。家がすぐに必要だと考えられているのなら、家づくりを始めるという選択ですね。その人にとって、家がいつ必要なのかによって、待つのか進むかというのを考えた方がいいです。
それから、もう1つあります。これから家づくりを考えるみなさんに冷や水をかけているのではなく、冷静に聞いていただきたいのですが、やはり物価はこれからも少しずつ上がっていきます。一番は人件費です。今、人件費というのはどんどん上がっていってます。特に技術が必要なものであったり、腕のいい人に対して掛けるお金が下がるということはない
2つ目が金利です。今は市場にお金を潤沢に出すという経済政策を打っていますよね。でも、いずれはどこかそれを引き締めて、金利を上げる方向に変えたいとなるはずです。今はね、景気が悪いしコロナもあるので、当面は極端に上がらない可能性が高いですが、2年〜3年ぐらいの目で見たら上がっていく確率は非常に高いかなと思っています。
3つ目がインフレです。これまで20年近くデフレでした。でも緩やかにインフレ基調になることを考えると、待ってたら待ってるほど損してしまいますよね。インフレは、時が経てば経つほど今持ってるお金の価値が目減りするという経済ですからね。
そうすると、家づくりの価格というのは、いろいろなことが複雑に絡み合うものなので、僕は、予想して待つか進むかというのは、ちょっとナンセンスかなと思ってしまうんです。誰にも答えがわからないことなので、行動を止めるデメリットの方が大きいかなと思っています。(結果論として良かったということはあり得ると思いますが)
改めてになりますが、家づくりというのは、やはりタイミングが重要だと思います。それは、それぞれの家族にとっての固有のタイミングです。
よく言うのは「子どもが小学校に上がるから」とか「子どもが結婚して夫婦2人暮らしになるから」とか「定年退職がやってくるから」というものですね。親の介護を考えて、ということもあると思います。
なので、別に世情がどうであろうと、自分の人生の大きなうねりの中で家づくりが必要だと思われるなら粛々と進めていく、材料代が上がることに対しては、なんらかのヘッジをするということが大切になると思います。
材料代に関しては、パートナーとなる工務店さんとかハウスメーカーの方に相談をしてみてください。例えば「家を買えないことのほうが困るから予算は多めに見ておきます」と。「でも材料費が戻ったら、ちゃんとその分は返金してくださいね」ということですね。紳士協定になるかもしれませんが、家づくりって基本は信頼関係です。相手が信頼するに足る人やと思えば、ちゃんとそういうことは約束をして進める。これが今の僕は現実策なのかなと思っています。
何にしても、家づくりは不確定要素があるものですが、今お伝えした策は、すごく難しいことではありませんし、変に妥協をしないほうが自分の幸せに繋がっていくはずです。なので、こういったことを頭に置いていただいて、自分のタイミングとしては進むべきと思われるなら、行動していただければと思います。
今回の動画は7月末に撮影をしています。8月9月になって、またウッドショックについて動きが出てきましたら、その時点で「ウッドショックその3」みたいな感じでお話しできたらと考えています。その時は、よろしくお願いいたします。
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