LED時代の照明計画を解説します
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今日は照明の話です。今あかりって、ほとんどがLED照明に切り替わっていますよね。
このLED照明は、いろいろなところで浸透していますが、まだ「最近のもの」という感覚が残っていて、これまでの電球とどう違うのか分からない方もいらっしゃいます。今回はそういう方に知っておいて欲しいことを解説をしていきたいと思います。
僕のスケッチを見てください。LED照明って、いろいろなものがあります。その中で基本的なこととして知っておいていただきたいことが何点かあるんですね。まず最初にお伝えしたいのがLEDには2つのタイプがあるということです。これまでの照明は白熱球といって、原型はエジソンが発明したものでした。
もう1つのタイプは蛍光灯です。白熱球は赤っぽい色。蛍光灯は白熱球に比べたらやや白いです。この白さにも2通りあって、白熱球に相当する電球色というタイプの色と、昼白色と言うものがあります。この3つのバリエーションがあって、それが近年は省エネ性を高めるということで、LEDというものに変わってきたわけですね。
LED照明は、みなさんご存知のように長寿命かつ割と明るいのが特徴です。これにも色目があって大きく言うと電球色・昼白色に分かれます。球のタイプとしてはですねソケット型と器具一体型があります。
ソケット型は電球と同じような形状で、器具一体型は照明器具の中に入っているようなものです。これに加えて、パッケージ型・集積型というものがあります。まずパッケージ型というのは、LEDが世の中に出てきた黎明期に多かった種類です。これはですね、眺めるとつぶつぶした小さい光の集合体みたいなのが見えるものです。
集積型はワンコアタイプとも呼ばれています。つぶつぶじゃなくて、面が光ってる感じです。パッケージ型・集積型は何が違うの?というと、光の飛び方が違います。光の前で手をかざすと影ができますよね。パッケージ型のLEDで同じことをすると、影が何重にもできます。ブワブワした感じになりますね。一方で集積型のLEDだと影は一重です。太陽の光でやるときみたいに、くっきりできる感じです。パッケージ型の場合だとチラチラするのが気になると言う方もいらっしゃるんですね。なのでできれば集積型(ワンコアタイプ)を選ばれたほうがいいと思います。
最近のLEDは、ほとんどが集積型になっていますが、古いLEDの機種とかですと稀にパッケージ型のケースがあるので「なんかチラチラするなぁ」と思ったらチェックしてみてください。
この情報を共有した上で、ここからが本題になります。LEDの特徴を2つ言っておきますね。1つは光を操作できるということです。これまでのあかりにも調光スイッチはありました。でもLEDはそれ以上に微妙な色調整ができます。ショールームに行ったことがある人は、赤とか青とか、いろいろ調整できるものを見たことがあるかもしれません。LEDの光の操作には2つのベクトルがあって、明るい・暗いという軸と、昼光色・電球色という軸があります。さらに100%の明るさ・50%の明るさ・5%の明るさみたいな感じで、3〜4つぐらいの段階で明るさが選べます。
ちなみに明るさはシーンによって合うものが変わります。例えば、事務仕事とか勉強する時は明るいほうがいいですよね。一方で家でホッとしたいときは暗めがいいですよね。ちょっと薄暗い感じのほうが落ち着きます。そういうことがあるので、明るさが調整できるということは、自分の好みに調節しやすいということになります。
それから色味について。暖かい色と白色(中間的な全灯)と呼ばれるものに分けることができます。これも、それぞれに合うシーンがあって、暖かい色は夕方とか冬向きです。白色は涼しげですから、朝方とか夏向きです。なので色味が変えられるということはタイミングやシーズンによって使い分けができる、ということです。ちなみに全灯と言うのは、太陽光の自然光に近い感じものです。なので洋服を選ぶときは、全灯で見たほうがいいです。外に出たら「思ったより派手な色だった」となったりしますので。
人間の目ではメリハリを感じにくいです。こういったことを知っていただいて、この座標の中で、どこのポジションを選べば照明が快適になるのかというのを探してみてください。
LEDの特徴2は多灯分散式ということです。昔の昭和の映画を例に挙げると、部屋には裸電球が1個ぶら下がってるだけでしたよね。1個の電気とか1個のペンダントライトとか。今はシーリングライトといって、天井付の丸い電気とか四角い電気とかが多いと思います。こういうのは1灯主義と言います。1個の電気だけで明るい、ということ。事務所・オフィスだと多灯と言って、いっぱい蛍光灯を付けますよね。この蛍光灯の付け方も、天井面だけに付けるみたいなケースがあります。ですが今のLED時代になると、いろいろなところに分散して、たくさん付けることが可能です。これはデザイン性もいいし、心地いい空間をつくる基本的な要素になります。なので、みなさんには、ぜひ知っておいてほしいです。
その上で多灯分散式を考える際には、注意してほしいことが2つあります。
1つがテレビとテーブルの位置。これはすごく重要で生活シーンに関わってきます。この位置を考える上で知っておいて欲しいのが、照明はダウンライトかペンダントライトかスポットライトを選ぶのがいいです。
シーリングライトをペタっと付けるケースが一番多いですが、あれは、おしゃれな人とか美的感覚が強い人は嫌いますね。「かっこ悪い」とか「せっかく、いろいろ考えてきた家が台無しになる」なんてお叱りを受けることがあります。僕もね、シーリングライトを不用意に付けると、師匠の松尾先生から「森下さん。これはないですよ」と言われます。なのでダウンライトやペンダントを上手に使うのがいいと思います。天井面に埋め込みでするのと、テーブル面のところにペンダントを下げて、この近くだけを照らす方法。その上でLED照明を使うときのポイントは、“面で活かす”ということです。一灯主義の時は天井に付けて部屋全体を照らしますよね。LEDは、ある一面を照らすという使い方になります。
普通はね、みんな天井を明るくしたいっていう気持ちは無いんですよ。明るくしたいのは座面とかテーブル面です。LEDはスポットライトとかアッパーライトというもので天井を照らすことで、明るさを演出することができます。それからテーブルライトと言って、低いところだけを明るくするというのもできるんですね。あとは壁の一面を照らして明るさを演出することもできます。「面を明るくする」という発想がLEDを使う上での基本となります。その上で家具との取り合いというものを活かせるのがLEDということを知っておいてほしいですね。
家具との取り合いというのはこういう感じです。例えば吊り戸の上に付ける。LEDって細くてコンパクトな物もあるので、吊り戸の上にそれを置くと、簡単に間接照ができるんですよ。これがね、めっちゃかっこいいです。高級ホテルみたいな感じになります。それから造作家具の後ろ側に仕込むと、造作家具のカウンター面だけが明るくなります。これもめっちゃおしゃれに見えます。こういうことができるというのがLEDの面白さなんです。だから、みなさんにはLED照明の特性を知っていただきたいんですね。過去の照明の延長として捉えるだけでは、すごくもったいないです。分散式で使えることを知っていると、個人の家でも照明計画の幅が広がりますし、表現できる美しさの幅が広がります。これはLEDの照明を使う醍醐味なのでね。
その上でスポットライトも使うとき、気をつけてほしいことがあります。おしゃれに見えるからといって無計画にスポットライトを付けてしまうと、目に光が入ったりとか、テレビの近くに付けたら眩しすぎて画面が見にくかったり、後から家具を置くことになって影になった、なんてことが発生します。エアコンが邪魔になったりとかもね。こういう問題が出てくるので、スポットライトを取り入れるときは、家具やエアコンなどの家電も含めて、トータルで考えてもらうと、LED照明の良さが活きると思います。せっかく頑張って作るものなので、意識していただければと思います。
最後にミラー電球についてお話したいと思います。すみません、僕は師匠の松尾先生にモデルハウスを設計していただくまで、全然知りませんでした。ミラー電球というのは電球の先に鏡がついているものです。光がね、この鏡に反射して電球の根本を照らします。壁に付けるとすごくかっこいいです。LEDのミラー電球もありますので、ぜひチェックしてください。
この前の動画では天井高の話をしたのですが、この天井高と今回のLED電球は、特性を知った上で、うまく組み合わせると、豊かな空間を作るのにすごく役立ちます。家づくりがもっと楽しくなると思いますので、ぜひ参考にしてください。
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