気密を高めることは本当に良いこと?
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今日は気密に関して、基本的なところを解説していきます。
先日の動画では
「断熱性能をなぜ良くしないといけないのか?」
という質問にお答えしました。
今回はそれの気密バージョンです。
性能の高い家は「高気密・高断熱」と表現されますよね。
この言葉のとおり、断熱と気密はセットです。
でも「高気密の家はどうも抵抗がある」と
おっしゃる方がいらっしゃいます。
その方に向けて、まずは誤解を解いて、
気密性を上げることがなぜ重要なのかを、
私なりに説明していきます。
「高気密な家なんか、
そんなのやめたほうがいいんじゃない?」と
思われる方ですが、僕の経験では、
大体3パターンほどの誤解を持っていらっしゃいます。
1つ目が「高気密にすると、息ができなくなる」というものです。
僕ら作り手側からすると「え!?」と思ってしまいますが、
結構言われます。まずね、気密が良かったら、
息ができない、苦しくなるということは絶対にありません。
と言いますのは、法律で家には24時間換気というのが
義務付けられています。
なので建っている家で換気が付いていない家は無いです。
そういった前提があるので、家に隙間があろうが無かろうが、
換気扇で空気の入れ替えを促進している以上、
高気密だから息が苦しくなるということはあり得ません。
この理由については、後ほど詳しく説明していきます。
2つ目によく聞くのが
「気密がいい家は音が響きますよね」というものです。
これは、ある面では当てはまると思います。
例えば外断熱の家で、外側に樹脂系の断熱材が貼ってある。
で、内側の柱と柱の間が空洞になっている家だと
音が響きやすいと思います。
でも音が響く・響かないというのは、気密より、
部屋の壁表面の凹凸や吸音してくれる素材を
使っているかどうかの方が影響としては大きいです。
3つ目は「木造の場合、高気密にしたら木が
呼吸できないから良くないのでは?」というものです。
これに関しては、確かに生きてる木の場合、
酸素が必要なので空気が循環する方が良いかもしれません。
でも、木材になっている木、つまり一旦伐採をして乾燥させた木は、
もうできるだけ乾燥させておいた方がいいんです。
これに反対する人は、そうそういないと思います。
乾燥状態が続いているほうが、木は腐りにくいですからね。
ちなみに木が腐るときは、
腐朽菌と言う細菌の働きが最大の要素になります。
よくカビと混同されますが、ちょっと違います。
カビは表面にくっつくものですが、
腐朽菌は繊維とかに付くものなので種類が違います。
腐朽菌は繁殖する為に3つの条件がいると言われています。
まず水分、次が酸素。そして当たり前ですが木が要ります。
あとは場合によって温度も影響することがあります。
なので酸素はカットできるならカットした方が良いです。
よく営業トークみたいなので「呼吸ができる家」
というものがあります。
これは木の水分を除去して乾燥さるために通気をしていますよ、
という意味で使われていています。この通気は外部で取りますが、
今回のテーマである気密に関しては、通気は内部で取ります。
気密とは関わりがないものですし、
「木そのものが呼吸できるように工夫されているから、
木が長持ちする」と勘違いされていることがあるので、
気を付けてくださいね。
1つ目の「高気密にすると、息ができなくなる」に戻ります。
気密が良いと何が良いのか?ということの最大のメリットは、
換気が効率的にできるということです。
余計な隙間があると、計画した通りに空気が流れません。
僕たちは過去に何度も気密の実験をしたことがあって、
そこでも証明されています。
その実験では、気密性能の高い空間とそうでない空間の
2つを用意して、線香の煙の流れをみるんです。
気密性能が低い空間は線香の煙がフワフワ〜って消えていきます。
一方、気密性能の高い部屋だと線香の煙の流れが
見えたりするんですよね。れがちょっと分かりにくい方は、
ストローを思い出して欲しいです。
2人の人がストローを使ってジュースをごくごく飲んでいるとします。
でも片方のストローにね、いたずらで針を使って
ストローに隙間を空けたとします。
そうすると途端にジュースが吸えなくなるんですよ。
気体も同じです。僕はこの現象を勝手に
「ストローの法則」と命名しています。
換気が悪くなると、汚れた空気が排出されにくいですし、
新しい空気も取り込みにくいので、
気密が悪いほうが息苦しくなります。
厳密に言うと二酸化炭素濃度が上がって、
頭がボンヤリするとかダルさを感じたりします。
二酸化炭素濃度が上がりすぎたら、
呼吸が出来なくて危険なこともあります。
だからこそ、気密性能というのは上げないといけません。
また、気密が悪い家というのは、
部屋の角や窓のサッシの隙間を通して風が入ってきます。
僕がよく言う「気流止め」も無いと、
すきま風はより助長されていきます。
そうすると冬は寒い、夏はエアコンが効きにくいので
暑い家になります。田舎にある古い、
気密の取れていない家に行くと、
エアコンが全然効かないんですよね。
夜も寝苦しかったりします。
同時に花粉やPM2.5といったものも、
家に流れ込みやすくなります。
「じゃあ24時間換気の給気口はどうなの?」というと、
基本的はフィルターが付けられる仕様になっていますから、
ある程度カットできます。
吸気口とは別のところから花粉やPM2.5が流れ込んできて、
体に影響を与えてしまうことの方が大変です。
それから、換気が効率的にできるということは、
室内で悪いものが発生した時には、
速やかに外に排出できるということでもあります。
昔でいう「シックハウス」の対策などが分かりやすいと思います。
あとは休みの日に家族で、お鍋とかホットプレートを囲んだりすると、
匂いが出ますよね。これも換気のいい家だと、
スムーズに排気してくれます。
換気の効率を良くすることは、家の空気の品質を上げていくことになります。
なので、「なぜ気密性能を良くしないといけないのか?」というと、
家の空気がきれいな状態であることや、
冬に暖かく過ごせる、夏涼しく過ごせる、
ニオイが外に排出されるといった、
住宅に必要な性能をきちんと実現するためです。
ちなみに気密性能に関しては、
目で見て隙間があるかって分かる人はほぼいません。
必ず気密試験というものを実施します。
専用の試験器で「C値」を計測します。
C値は最低限でも1を切ってください。
個人的にはC値=0.5位になるのがいいと思います。
もっと少ないほうが良いですよ。
でも、ひとまずは0.5位にする。
そうすると、まずまず満足できる値だと思います。
「気密性能」は、マニア向けの話ではないです。
家づくりの中では、ものすごく基本的な話です。
なぜかというと、家族の命とか健康とか、
それから気分といったことを左右するからです。
みなさんには、今回の話を頭に置いていただいて、
気密のこと、しっかりこだわりながら、
家づくりに取り組んでいただけたらと思います。
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