家を高断熱にすると本当に良いのか?
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今日のテーマは
「なぜ高断熱な家にする必要があるのか?」についてです。
先日、僕より先輩のお父さんから
「森下さん。あんた断熱しっかり
した方がエエって言うけど、
そんなん要るんかいな」と
質問を受けました。
大分関西的な言い方ですが、
こういうお父さんは決してめずらしくはないです。
おそらく今回のお父さんは
「もうこの歳になるまで、
こういう(断熱性がそこまで高くない)家に住んできた。
その家で、ずっと家内と幸せに暮らしてきたのに、
今更そこまでお金掛けてやる必要があるのかな?」と
疑問に思われているんだと思います。
そうしたお父さんと会った時に僕は
「ちょっと待ってください、お父さん」と話をするんですね。
その内容をしていきたいと思います。
僕がハウスメーカーに入社した30年くらい前、
家の断熱というのは、すごく立派な
ハウスメーカーさんでも壁は良くて
10cm(80mmくらいのこともありました)。
天井に関しても10cmくらい、
床は4cmくらいでした。
現在、僕の会社で最低限でも壁は11cm、
屋根は18cm以上20cmぐらい、
理想は25cm、床は8cmぐらいにした方がいいですよ、としています。
断熱材というのは厚みと素材自体の
熱伝導率(あるいは熱抵抗値)の2つで評価をします。
厚みに関しては、薄いより厚いほうが
性能の高い家ができます。
この過去の基準と今の基準の2つを比較すると、
明らかな違いがあります。
壁の厚みについてはあまり変わらないじゃん、
と思われるかもしれませんが、
30年前は10kgのグラスウールを
使うことが多かったです。
一方で、今は16kgとか24kgのグラスウールを使います。
夏用の掛ふとんと冬用の掛ふとんをイメージしていただくと、
違いが分かりやすいと思います。
高性能かどうかが分かれてくるポイントになりますし、
実際住んでみると、「これほど違うんか!」
と思うくらい快適さに差があります。
断熱の必要性を実感していただくために、
次は、夏の時期と冬の時期の体感温度についてお話します。
部屋というのは、床と壁と天井で構成されてますよね。
部屋の真ん中に人間が居たとして、
例えば夏の時期「暑いなぁ」と思っている時は、
体が暑いと感じています。
これが「体感温度」によるものです。
体感温度は、よく部屋の温度(室温)と混同されがちなので、
これの違いを知っておいてください。
まず室温というのは、部屋の空気の温度です。
例えば夏にエアコンを26℃設定で使っていたら、
室内が26℃くらいに収れんしてきて、
安定した状態になりますよね。
この時、部屋の空気の温度が26℃になっています。
例えで挙げた26℃というのは、結構涼しい温度です。
ヒヤッとするくらいの温度のはずなのに、
暑いと思う時がある。それはなぜかというと、
体が感じている温度、つまり体感温度が
26℃ではないということなんです。
どういうことかと言いますと、
建物を構成している床や壁、天井は、
必ず外から熱の影響を受けています。
そして輻射熱が出ています。
この熱は、大体、面から均等に出ています。
これらの床や壁、天井から出ている
熱の平均値+室温の平均値が体感温度になります。
さっきのエアコン26℃設定の部屋を例に挙げて解説しますね。
室温(空気の温度)は26℃になっています。
でも断熱性が高くない家だと、壁や床、
天井は外から受けた熱を放出していて、
平均の表面温度が36℃になっています。
ここから体感温度を計算すると、
(26+36)÷2=31℃。つまり31℃もあるんですよ。
31℃を感じていたら、それは暑いですよね。
冬場は、逆のことが起こります。
今度は冷輻射と言われるものが発生します。
冬場、窓の前に立ったら、ヒンヤリする感じありますよね。
あれが冷輻射です。
冷輻射は、壁・天井・床すべてに起きています。
特に冬場は足元が10℃を下回っているケースが結構あります。
平均熱冷輻射が11℃となれば、
暖房を23℃設定にしていても、
体感温度は17℃になります。
暖房で23℃と聞くと結構暖かいイメージですが、
体感温度は17℃ですから、
寒がりの方ならカーディガンとか、
厚手の靴下+スリッパがないと、厳しいと思います。
これが断熱材をしっかり入れて、
断熱施工きっちりやることの本当の意味です。
「断熱しっかりしたら、光熱費が下がって良い」とか、
そういうことを言う方も多いです。
でも、そんなことより、
表面温度を人間の快適な温度に近づけていくことが、
断熱を行う上での最も重要なことだと僕は理解しています。
こういう話をした時に、理解してくれる
お父さんもいらっしゃいます。
一方で時々「そうは言うけど、そんなもんは
夏場エアコンをガンガンかけたらエエし、
冬なら暖房バンバンかけたらエエんや」と
おっしゃるお父さんもいます。
でもね、そうやって空気をいくら冷やしたり、
暖めてたりしても、外からの熱とかの影響を
ダイレクトに受けてしまったら、
エアコンをどんなに使っても快適な部屋はできないです。
電気だけ余分に使うことになります。
なので家に関しては、
色々お金をかけるところの優先順位があると思いますが、
まずは断熱性能を1番にしてほしい。
高性能な家に必要な、
基本のところを押さえてほしいんです。
人の命とか、生活の快適さとか、奥さんの機嫌とか、
お金より大事なことに関わって来るからです。
冬に部屋が寒かったら、
人の機嫌は悪くなっちゃいます。
奥さんだけでなく自分もそうだと思います。
自分たちの体の健康、心の健康のために
絶対に必要なことです。
これらを得るために、家の性能というのは、
ある面では病院に行くより効果が大きかったりしますから、
知ってもらいたいと思って今日は解説をしました。
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