親子の絆を深める子ども部屋の作り方
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今日のテーマは子ども部屋の作り方です。
間取り決めで子ども部屋を考える時、よく相談される事があります。
それは「部屋を作ってあげたいけど、こもりっぱなしになるような部屋にはしたくないんです」という内容です。
一方で「しっかり勉強してほしいから、集中できるような部屋にしたい」というのもあります。
相反する内容かもしれませんが、僕なりに考えていることをお話したいと思います。
まず、子ども部屋を考える時に「親子のふれあい」というテーマを置いてほしいんです。
家族のために建てる方が多いですし、せっかくの機会なので、ぜひ考えてみてください。
最初の相談の「こもりっきりにならない部屋」に関しては、部屋を開放的にするという方法があります。
特に2人以上のお子さんがいらっしゃるご家族の場合、一般的には、子どもの人数に合わせて2部屋、3部屋とつくられると思います。
このとき部屋と部屋は、壁ではなく、引き違いの建具とかにします。この絵では引き戸にしています。そうすると、片方の扉を開ければ1つの空間になりますよね。
特に同性のご兄弟の場合、小さい頃って子犬のようにじゃれあって部屋で楽しく遊んだりしますよね。
こういう風に開放的な空間にすると、子どもは寂しさを感じにくいし、親も子どもの気配が分かったり、目が届きやすくなります。
かっちりした個室でなく、開放感のある空間にするのが、1つの方法です。
「集中できる部屋」については、こう考えています。
少し前に、頭のいい子に育つ家づくりの秘密みたいな感じの本が、ベストセラーになりました。
この本では大学の先生が、受験勉強で成功した子どもは、どんな家で育ったのかを調べた結果が載っています。
今からお伝えするのは、その先生の知見と僕の考えを合わせた部屋の作り方です。
おすすめなのは子ども部屋から「勉強するという場所」という機能を取って、外に出すことです。
例えば、子ども部屋はあるけれど、勉強する場所は廊下のそばにつくる。2人兄弟なら、この机はカウンタータイプでもいいと思います。勉強する場所を廊下やホールと連結させるんですね。
子どもに個室を持たせたら集中しやすくなって、よく勉強すると思われる方が多いですが、実は違うんですね。優秀な大学に行った子どもは、ながら勉強していた子が多いんです。
例えばお母さんが水仕事してる横で、ダイニングテーブルで宿題するとか。リビングで
みんながガヤガヤしている中でドリルをするとか。
ある程度ガヤガヤした環境でも集中できる子どもが、成績がいい傾向があると言われています。受験のために、大量の知識を短期間でガーッと詰め込むのは、また別の話になりますが。
僕が子どもの頃なんか、ホンマそうやったんですが、勉強部屋で勉強してることの方が少ないんですよね。
親の目が届くようなとこでやるのが良いですから、この絵のように、勉強する場所は子ども部屋とは別につくる方がおすすめです。
これの延長で、リビングやダイニングのそばにワークスペースをつくる、という方法もあります。子どもの勉強場所としても使えるし、親と一緒に何か作業をするときにも役立ちます。もちろん大人が使うこともできます。
例えば年賀状のシーズンになったら、家族みんなでワイワイしながら、一緒につくるのも楽しいですよね。僕も娘たちが小さい頃は、毎年楽しんでました。
最近は、あんまり子どもに見てほしくないものも、ネットを使えば簡単に見られる時代です。ここのワークスペースなら親の目が届いて、ちょっとした抑止効果があると思うので、パソコンを使わせるときにもおすすめです。
これもみんながいる場所で勉強したりパソコン使ったりするので、部屋にこもりがちにならないです。
ここまで部屋のつくり方を平面的に説明してきましたが、立体的な構成でも考えてみたいと思います。
これは1つの例です。
ここがキッチン、ここがリビングダイニングだと思ってください。
上に吹き抜けをつくると、そばは大抵ホールや広めの廊下になります。ここに共用スペースをつくるんです。
部屋にこもってテレビゲームばかりしないか気になる…という方には、こうした共用スペースをつくって「テレビゲームをしていいのはこの場所だけ」とルールを決めて使わせるのもいいと思います。
同じ場所にスタディコーナーをつくるのもおすすめです。
南向きに机を配置したら、窓から景色が見えていいですよ。僕はこういう書斎に憧れがあります。吹き抜けによって、お互いの気配も感じられます。
小学校の4年生ぐらいまでは、部屋で1人きりで勉強する事に、寂しさとか怖さを感じる子が多いです。
でも、お父さんが1階にいるとか、お母さんがキッチンで作業してるのが分かると、すんなり勉強できたりします。ちょっとした自立心を育むことにも繋がりますから、このプランはおすすめですね。
今回のように子供部屋の話をすると、親子の接点をつくることって、ものすごく大切なことだなぁと感じます。
なぜ、そう思うかというと、最近の家はこたつがないんですよね。
特にモリシタでは、こたつなしで暖かく過ごせる家を手掛けていますから。より強く思います。
こたつは、暖房としては、あまりおすすめできません。でも、家族の団らんをつくっていたりしますので、そういう面ではいいなと思いますね。
僕もこたつで、家族と過ごした思い出がたくさんあります。
つい最近も、80歳になった母と、こんなやり取りがありました。
「昔のおかあちゃんと、おこたに一緒に入ってたよね。俺が宿題ちゃんとするか監視してたのもあると思うけど。その時、向かいに座ってて、冬の旅っていう当時ベストセラーになった本を読んでて、『何回でも泣けるなぁ』って言うてたやん」みたいな話をしたんです。
僕は何の気なしに言ったのですが、母は「アンタそんなこと覚えてたん!?」って言って、昔のこと思い出したからなのかウルウルしている、ということがありました。
その時に「あぁ、そうか。昔の家では、こたつというものを通して、親子の接点が生まれていたんだなぁ」と思ったんです。
だからこたつが要らない高性能な家ほど、意識的に親子の接点を考えることが大切だと感じています。
子どもはいつか親離れしていきますが、それまでには十数年という期間があります。
これから家づくりをする子育て世代の方には、この長い時間を通して「親子関係をどう育んでいくか?」というのも意識しながら、子ども部屋をつくってほしいなと思います。