結露に強い壁を作る5つのポイント
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今日は壁体内結露に対して、強い壁をつくるためのポイントを解説します。
壁体内結露は、壁の中が結露するという目に見えない結露。
結露の中でも一番怖いものです。
基本的な事なので、僕も、僕以外の専門家の方も、いろいろな人が解説しています。
くどいかもしれませんが、とても大事なことですし、「これを知らずして家を建てるな」と言う位重要なことです。なので、しっかり聞いてもらえたらと思います。
結露に強い壁を作るための大原則は4つあります。
1つ目は、室内側に透湿抵抗の高い防湿層を設けることです。
「透湿抵抗が高い」ということは、湿気を通さないということです。
結露というのは湿気を含んだ暖かい空気が、温度の低い物の表面に当たった時に、空気中の水蒸気が水滴になる現象です。
湿気を通さないバリアがあったら、かなりの部分をシャットアウトできます。これが原則1です。
2つ目は湿気の逃げ道をつくることです。
先程、透湿抵抗の高い防湿層を設けるといいましたが100%はシャットアウトできません。どうしてもわずかに入ってしまいます。
これは仕方ないので入ったら、すぐに出すことが大切になります。
具体的に言うと、建物の外壁側の方に通気層を設けます。
みんな分かってはいるのですが、現場では結構忘れがちです。僕が見てると2〜3割位あると思います。
ここで大事なのが気流止めを確実にすることです。これが3つ目の原則です。
気流止めと言うのは、冷たい空気が入ってこないようにすることです。
家の1階には、土台があってその上に柱が立っています。
そこから壁や床をつくりますよね。
この時、床と壁というのは結構複雑で隙間ができやすいんです。
この時、下側から冷たい空気が入ってこないようにします。これは床側の気流止めになります。
屋根も同じです。壁と天井があって、冬場は、室内の暖められた空気が上に抜けようとします。
この暖められた空気が上に行くと結露を起こすので、気流止めをすることでピタッとフタをするんですね。これが大原則の3つ目になります。
原則4つ目は断熱材を隙間なく入れることです。
すごく当たり前の事ですが、冷たいものがあってそこに湿気が来たら、結露しますので。
これら4つのことを実施する中で、最近「ここも気になるな」ということがあります。
なので、今回はもう1つプラスして大原則5つとします。
この5つ目は通気の逃げ口をつくることです。
最近「ゼロ軒(のき)」と言って、軒が全くない家があります。
デザインがシャープだから、若い人の中で一部支持されている印象があります。
でも、このゼロ軒の家は、通気層の出口がピタッと塞がれていることがあります。
軒のない家は、軒のある家と比べて、雨水が入りやすいです。
家をつくる側からすると、雨漏りが怖いのでコーキングでガチガチに固めてしまうんですね。
たしかに止水にはなりますが、コーキングすると空気の逃げ道がなくなって、湿気が溜まってしまいます。
これが何かの拍子で悪さすることがあるんです。
僕なら、軒ゼロの家の場合、ここまでガチガチに固めません。
あと1cm確保をして、通気金物を入れて、通気の逃げ道をつくります。
軒ゼロの家でよくある失敗は、デザイン性の高さばかりを追求して、あまり現場のことを分かっていない設計士がしがちです。
あとは建築の知識が無くて、見よう見まねで軒ゼロの家をした人も含まれます。
この失敗の怖いところは、住んで何年も経ってから露呈することです。
「なんか雨漏りしてる」と思って確認したら、雨漏りじゃなくて結露だったという、
取り返しのつかない状況になることもあります。
なので通気の逃げ道がきちんと確保されているか、というのは、しっかり覚えておいてほしいです。
軒ゼロの家は、デザイン性が高い以外に、予算を抑えるために希望される方もいらっしゃいます。
この場合、バルコニーはルーフバルコニーにされるケースが多いです。
ルーフバルコニーの手すりは壁を活用するんですね。
その時も、職人さんとか業者さんは雨漏りが怖いから、ガチガチに固めがちです。
これは手すりの断面図です。
この3面をサイディングみたいなものでガチガチに固めます。そうすると通気の逃げ場所が無くなります。
バルコニーの南側は、太陽がガンガン当たります。そうするとサウナのように蒸された状態が続きます。
特に、6月位の梅雨の時期。
湿気が多くて蒸された状態が続いて、晴れた日は太陽が照ることで蒸し返される。結果、腐朽菌が発生したりカビが生える、ということがあります。
コーキングでガッチリ固めてしまうのはね、雨漏りのことを気にした結果
起こるので、真面目な職人さんほどしがちです。
でも、結露に対してはアダとなってしまいますから、きちんと通気金物などをつかって施工をしてください。
メーカーで言うと、大阪のハウゼコさんとかがいい金物をつくられています。
通気の逃げ道をつくるのと止水性の高さはトレードオフの関係なので複雑です。
でも、バランスの取れたものができていることが大切です。
ここはね、完成したら外からは見えなくなるので分かりにくいんです。
知識不足であったり、コストを抑えるために「金物は要らないです」と言って埋めることを選択する人は意外と多いです。
僕の家のすぐ近所で、分譲屋さんが何区画か施工しているのを見たりしていると、今言ったようなことが起きたりしているんですよね。
よく見ることだからこそ注意してください。
通気の逃げ道がしっかりできてないと、結露に強い壁というのは絶対にできません。
今回動画を見ていただいたみなさんには、このことを知っていただいて、これからの家づくりに活かしていただければと思います。