「子供たちが巣だったら城山(じょうやま)のふもとに小さな平屋の家を建てて暮らそう。」
宍粟市波賀町出身の父と母は、よくこんな話をしていました。
小さなお城が建つ山の麓が父の生まれた村だったので、いつかは故郷に帰りたいと思ってるんだなあと子供心に思ったことを覚えています。
結局父は早くに亡くなってしまったので、その夢は実現されることはありませんでしたが、その影響からでしょうか。私自身も、いつかは平屋に暮らしたいと思って来ました。
さて現在、平屋の家を建てたいという人が最近増えています。定年を控えるシニア夫婦も多いですが、初めて家を建てたいと考える若い人にも意外と人気があります。
平屋を希望する方が言われるメリットは3つ。1つめにワンフロアなので家事などの移動がラク。2つめに階段がないので無駄なスペースが減る。3つめは歳をとっても上がり降りがないので安心といったものがあります。
ただ実際に平屋づくりを検討して、結局諦める人が多いのも事実。平屋で間取りを考えると、なるべく小さく作ろうと思うのですが、結局大きくなってしまって、実際に配置しようとすると土地に入らなかったりすることがあります。
そして、最大の問題がコストです。
比較をすると分かりやすいのですが、同じ床面積の平屋と比較すると、二階建てなら面積あたりに占める基礎と屋根のボリュームが半分で済みます。
平屋の家はどうしても構造的に割高になります。おまけに土地の面積も大きくないといけないので、ここでもお金がかかります。
なので、予算を削るために「家の性能」を犠牲にして無理やり建てる人も多くなります。
その結果、新築なのに冬は寒いし夏は暑い。光熱費や医療費が余分にかかるので目に見えない負担もおおくなる。かなり残念な結果になります。
「いったい何のための平屋だったんだ。」
そうならないための解決策に、「ほぼ平屋」という考え方があります。
簡単にいうと、子供部屋くらいを2階に配置して後は1階にという、平屋と2階建ての折衷案と言うわけです。設計するのは難しいのですが、コストも問題を小さくできます。
現在、松尾和也先生に設計いただいて建築中のモデルハウスのコンセプトがこれ。広さ47坪かなりの変形地。2台駐車を確保しながら、「ほぼ平屋」に攻めたプランは一見の価値があります。
父から引きついだ夢実現も何か所か組み込みました。秋には公開できそうですので、お楽しみに!