昨年6月金融庁が発表した「老後資金は、2000万円不足」というマスコミ報道は、あなた様も強い関心を持たれたことと思います。
その内容をザっと解説すると、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯の場合、実収入は209.198円で実支出263,718円、その差額として、毎月約5.5万円の赤字が出ると指摘しています。
なので、夫が65歳で退職して20年間で5.5×12×20=1320万円、30年間で5.5×12×30=1980万円の老後資金必要性を発表したものを、マスコミが乱暴に要約して「年金が2000万円分不足」といったようなエモーシャルな報道になったわけです。
当然、この推測は平均値から算出していますので、現実はケースバイケース。各ご家庭で様々な状態がありますので、単純にビビる必要はありません。
ただ一方で、老後のお金を考えることはとても大切です。特に、私は家づくりにかかる者として1つ気になることがあります。
新築を建て住宅ローンを借りた人には「どんな現実があるのか」という点です。
2018年度の家計調査の結果に興味深いものがありました。かいつまんで言うと、60歳から69歳の世帯で26.8%世帯に借金があり、70歳以上でも12.5%の世帯に借金あるという内容です。さらに驚くべきは、60歳以上の平均の借金額は794万円で、そのうちの606万円が住宅ローンだというのです。
つまり、60歳以上の4人に1人以上の確率で住宅ローンが600万円以上残っているのです。これが今の日本の現状で、この先もっと深刻化してくることが予測できます。
現在65歳の方の時代の平均初婚年齢は、男27歳女24.7歳。それが今は平均初婚年齢が、男31.1歳女29.4歳ですから、今の65歳の世代と比べると5年遅くなっています。
このことは、住宅購入の年齢を確実に遅くすることになると思うので、今後は確実に定年退職時点での住宅ローン残高は増えてゆきますから、冒頭に申し上げた老後の資金問題に深刻な影響をあたえるのは必至です。
住宅ローンを組む時に、多くの営業マンや金融機関の担当者は、「繰り上げ返済していけば、定年までに完済できますよ。」「完済できなくても退職金で一括返済すれば大丈夫。」などの根拠のないアドバイスをします。
しかし、子供の学費などがかさみ「思うように繰り上げ返済できなかった」というケースは決して珍しくありません。
これから、家づくりを考える方は、今まで以上に家を買う資金計画の前に、人生全体の収支計画「ライフプラン」を必ず立てねばなりません。
もっと突っ込んでいうと、住宅ローンを返済しながら、「どう貯金をしていくか」の作戦と、資産寿命の延長=「家の品質をどう確保するか」の作戦を、夫婦で学んでいただきたいと思います。
老後の資金確保に必ず役に立ちます。気になる方は、ご相談ください。あなたに、ぴったりのアドバイスをします。