先日、お引渡しをして15年たったお施主様のお宅に、設備のメンテナンス工事にお邪魔してきました。
変わらず明るい笑顔で迎えてくださった奥様と、大病を克服され元気に暮らされているお母様から、当時小さかった息子さんが立派に成長されている様子などをお伺いし、懐かしかったり驚いたり。長く続くご縁を、ありがたく感じさせていただく時間になりました。
改めて15年暮らされて、家ついて気になっていることを、色々聞かせていただきました。
まず満足されている点。山手のほうにあるそのお家は、冬場はとても暖かいとのことで、「同じ時期建った近所の家々では、冬場は室温が7~8度まで下がった日でも、我が家は13~4度くらいあるので、そんなに暖房をしなくてもいいくらい」と感想をいただきました。
一方、部屋内が暖かいことの弊害として、窓(特に窓枠)が結露しやすくて、「絶えず拭いていないとカビがきやすいので面倒、何かいい方法ないかしら?」という相談もいただきました。
当時の日本では平成11年基準というものがあり、高性能住宅の基準としてもてはやされていた時代でした。特に省エネ等級4の仕様は、「次世代省エネ基準」として最高ランクに位置され、十分な断熱性能と言われていました。弊社でも、当時この基準を念頭に家づくりをすすめていました。
その当時主流だった「アルミ製サッシ」よりは、かなり性能の高い「アルミ樹脂複合サッシ」でペアガラスの窓を採用してました。それでも、長く暮らしてみて「もう少し高い性能のモノがよかったのでは?」と住まい手であるお施主様自身が感じられているのですから、これはなかなかに重い話だと感じました。
と言いますのは、現在世の中で基準になっている「平成28年度省エネ基準」とは、15年前に最高ランクといわれた「次世代省エネ基準」とほぼ同じ性能であるからです。意外に思われるかもしれませんが、坪単80万円以上の大手ハウスメーカーの家でも、半分以上は未だ“その性能止まり”でもあります。
自戒の念をこめて書きますが、まだまだ日本の住宅業界は、売りやすさを優先しがちです。デザインやインテリア、見た目の豪華さなどにはコストをかけますが、本当に必要な建物の性能を確保するコストは渋る感じで、なんともバランスが悪いと言わざるをえません。
冬期に「家が暖かい」「窓が結露しない」ということは、とても大切なことです。さらに言うと、これから家を建てるとしたら、室温は20度をキープ出来るようにしたいものです。
これらのことをしっかり実現するためには、パッと見は違いがわからないオール樹脂サッシの採用など、平成28年省エネ基準を超えるスペックとか、太陽の光をコントロールできる設計基準とか、仕上がってしまうと確認できない施工の品質など、目に見えないものが大切になります。
「いちばん大切なことは、目に見えない」だからこそ、「お施主様に見えないものをどう理解していただくか?」そのことを考え答えを導くことが、我々の使命であると、改めて肝に銘じた次第です。
追伸
省エネ基準の推移を比較できる表がありましたので、参考まで添付しておきます。
姫路付近で家づくりを考えるなら、HEAT20のグレード1以上で建てることが大切ですね。
予算があれば、グレード2がよりいいのは間違いないですが、建物の配置と窓の切り方、最適な暖房・冷房機の設置の仕方で、グレード1でも快適でランニングコストを抑えた家づくりは可能ですので、興味のある方はご相談ください。
等級 |
UA値:外皮平均熱貫流率(単位:W/(m2・K)) |
||||||
1地域 |
2地域 |
3地域 |
4地域 |
5地域 |
6地域 |
7地域 |
|
HEAT20※ |
0.28 |
0.28 |
0.28 |
0.34 |
0.34 |
0.46 |
0.46 |
HEAT20※ |
0.34 |
0.34 |
0.38 |
0.46 |
0.48 |
0.56 |
0.6 |
経済産業省 |
0.4 |
0.4 |
0.4 |
0.6 |
0.6 |
0.6 |
0.6 |
断熱等 |
0.46 |
0.46 |
0.56 |
0.75 |
0.87 |
0.87 |
0.87 |
断熱等 |
0.54 |
0.54 |
1.04 |
1.25 |
1.54 |
1.54 |
1.81 |