今どきなら、5歳の子供でもコンビニなどで消費経験があるので、“取引ルール“ってやつを知っています。 「お腹がへったなあ~」と思ったら、500円のお弁当を500円の現金を出して交換する。「暑くて疲れた・・」と感じたら、1000円の栄養ドリンクを1000円の電子マネーと交換をする。“取引”とは“等しい価値を交換する”「等価交換取引」のことを言うのだと、シンプルに理解している方が多いのも無理はありません。
実は、そのような取引とは別に、モノやコトを提供する売り手と、それが欲しい買い手とが、共同してお金以上の価値を生み出し、生み出された価値を“両者で分け合う”「共同プロジェクト型の取引」というものがあります。
分かりやすい例が「医療」です。
お医者さんは、専門知識や薬、治療技術などのモノとコトを売る人です。一方患者さんは、病気やケガを治すためにお金を払います。 しかしながら、患者さんが「健康をください!」といって、お医者さんが「ハイ、3万円になります。」といって、健康を納品するような、前述の“等しい価値を交換する”取引にはなりません。
患者さんには今の体の状況を詳しく教えてもらい、お医者さんは問診や詳しい検査をして処置や投薬をすることで、お医者さんはお金とやりがいと、患者さんは健康とか安心という価値を分かち合う共同作業なのです。
しかし、「医者は専門家なのだから、患者を見ればわかるはずだ」とか「長年の生活習慣は変えられないけど、とにかく薬を出してくれたらいい。」とか患者さんが壁をつくれば、せっかくのお医者さんの治療も効果が薄れてしまいます。
さらに言うなら、治療を始めてもすぐには効果がでなかったり、副作用が発生したりすることも出てきます。つぎつぎ問題や課題が出てくることが多いです。
共同プロジェクト型の取引では、「問題は起こってあたり前。」「それをどう共に解決するのか?」そこところを理解することが、「お金の額以上の価値」を生み出し互いが成功する最大のコツなのです。
家づくりも、あきらかに「共同プロジェクト型の取引」。ですから、真剣になればなるほど問題が生まれてきます。
やっぱり、お施主様と我々工務店が、お互いに本音のコミュニケーションを深め、どうやって一緒に問題を解決するか?そのことにフォーカスするしか、いい家づくりは叶わないということです。
でも言うは易し、するは難し。“共同プロジェクト取引”を、しっかりリードしてゆくことこそ、家づくりのプロとしての、私たちの責務であると、改めて感じる今日この頃です。