先日、建替えしようか?リフォームしようか?迷われているお客様の古い家を見ませていただく機会がありました。そこで見たものは、久しぶりの光景でした。
洗濯機が戸外に置いてあるのです。
私の母方の祖母の家も同様なのですが、宍粟市波賀町の田舎なので市水道以外に村の水道(山水)があります。水道代が無料なので、もっぱら洗濯にはこの水を使います。そんなわけで、村の水道の利用しやすさ優先で、戸外に洗濯機を置く家がまだまだあります。
たださすがに、旧姫路市内の町内では、この20年の間にはすっかり影を潜めたと思っていました。 そのお宅の奥様にお話しを聞くと、数年前まで大きいおばあちゃんが存命でいらして、毎朝そこで洗濯をされていたようです。そこしか施設がないわけで、奥様もご結婚以来同じようにそこで洗濯を続けられていたようです。
生活の習慣=常識とはすごいものです。 夏場の朝の洗濯も大変な労働だと思いますが、1~2月氷点下をしたまわる冬の朝、そうとうな苦行であることは、容易に想像できます。
しかし、それを迷うことなく律義にこなしてこられた歴史が長いと、それはその家の強力な常識としてあり続けるのですね。
さて皆さん、まわりを見渡して、自分たちでは当たり前と思っている常識を、疑ったり検討したほうがいいことはないでしょうか。
たとえば、
① 南以外に東と西にも窓を大きく取った方が明るくて暖かい家に出来るという常識。(南側以外の窓は、寒さに対しては弱点になる)
② 石油ファンヒーターの方が、床下エアコンより暖かくて、光熱費が安いという常識。
③ 夏場にエアコンで冷房する時に、居る時間だけエアコンを動かすほうが、24時間つけっぱなしより電気代が安くなるという常識。(②③いずれも、一定以上の家の性能があるという前提ですが)
④ 洗濯モノは、2階のベランダで干すという常識
⑤ 寝室には、ウォークインクローゼットが便利という常識
⑥ 朝一番には、窓を開けて空気を入れ替えた方がいいという常識(一定の気密が確保されていて24時間換気設備があるという前提ですが)
書き始めると意外にあります。
たいがいは、思い込みと目先のコストへの抵抗感を、私を含む実務者の説明力の不足で、乗り越えられない、理解していただけないというのが残念でなりません。
ぜひ、新しい家、新しい暮らしを考えられる時は、一度自分の中にある常識を疑ってみてください。