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秋祭の頃なので再び「神棚」について考える

今回は秋祭の頃なので、「神棚」について解説します。

ようやく長かった夏も終わって秋になってきましたね。私は兵庫県の姫路市に住んでいますが、秋になるとお祭り一色になってきます。つまり神事がとても身近なもので騒がしくなります。先日仏壇のお話をした時に「神棚についても教えてほしい」というお声がありましたので今日は神棚について解説をしていきたいと思います。

みなさんはお家に神棚がありますか?若い方の家には神棚がない方もおられるかもしれません。私は60代ですが、年を重ねるごとに神棚の意義を感じております。昭和のおじさんの独り言かもしれませんが、少しお話に付き合ってもらえたらと思います。

先日お客さんと御朱印の話になりました。御朱印は神社・お寺にお参りに行った時に書いてもらう、お参りに来たという印みたいなものです。それを集めている方が、神社とお寺の御朱印は別々の帳面にした方がいいのかという話がありました。そんなことから神棚の周辺のことについて知ってもらっても面白いかなと思いました。建築の話からは脱線しますが、成り立ちを知っておいた方が便利だと思うので解説します。

姫路は秋祭りがすごく盛んです。「灘のけんか祭り」という姫路の人が盛り上がるお祭りがあります。それは浜手の方のお祭りですが、僕は山の方の出身なのであまり知りません。でも山間部の村の子どもたちも秋祭りは楽しみにしていました。さらに言うと子どもの頃の神社はすごく身近なもので、神社に行っていつも遊んでいました。それと私は工務店の親父で、ひいおじいちゃん・おじいちゃん・親父がみんな大工だったので、大工の棟梁と神事は密接な関係がありました。棟上げの時に餅まき・上棟祭をしたり、神様と繋がる人間は大体、棟梁がやっていました。神主さんを呼んでやることもあると思いますが、棟梁が棟の上に上がって厳かな感じで、神様に向かって拝んで祝詞を上げたりしていました。私もおじいちゃんに「上がってこい。勉強・体験だ」と言われて親戚の家の上棟の際に上がったことがあります。工務店の仕事は神事に関わることなので、神棚に関してもいろいろ思うところがあります。

神棚のある暮らしは私は悪くないと思っています。神棚には2つの大きな要素があります。その1つがお札です。神社にお参り・初詣に行ったらお札をもらうと思います。これが絶対に必要です。そして2つ目に、そのご神体に対してお祀りする神具が必要です。お札に関してはいろいろ種類がありますが、神社によって種類が変わります。アマテラス大神を祀った伊勢神宮や、十月は神無月と言いますが1つだけ神在月になる出雲大社などがあります。出雲大社には「御玉串」という立派なお札があります。それから地元の氏神様お札で大都市神社・地元の八幡さんがあります。それ以外には崇敬神社という商売繁盛で有名な、兵庫県西宮恵比寿が総本山の恵比寿神社があります。そういうお札の1つでもいいですが、何種類か置くような形で祀ります。お札はもともと毎年更新するんです。年始に初詣で行ってお参りして、お札を返して新しいものをまたもらってという感じです。1つの大きな区切りというか新しい年に新しく生まれ変わるという思いがお札にあると思います。

そしてそれをお祀りする神具には、まず「榊」があります。緑の常緑の綺麗な葉っぱで対にセットで置きます。榊を立てる花瓶みたいなものが「榊立」です。榊立も対にあります。ちなみに榊立は普通筒状みたいな感じのものが多いですが、私は根元が四角になっているやつがおすすめです。榊立は重心が高く不安定なので、低重心の榊立がおすすめです。その他に「瓶子(へいじ)」という神様に捧げるとっくりみたいなものがあります。これは「お神酒(おみき)」という、瓶子にお酒を入れて神様に捧げるものがあります。ちなみに落語で「お神酒を呼ばれよう」というのは悪い男たちがお酒を飲みに行こうということです。そんな隠語になるぐらい庶民にも親しまれてきた言葉です。

それ以外にも3つあり、お皿2つと「水玉」という水を入れる蓋の付いた器があります。これも白いお皿が一般的で、これの3点セットでお酒を対に置いて、榊立を対に置くものが大体1つのセットになります。お皿の2つには、1つはお米、1つはお塩を入れて供えます。今は十月で新米の季節だから新米が出たら神様に供えます。

昔子どもの頃よく親に「新米が出たから神様に供えてきな」と言われていました。米に関しては精米した米を置くのではなく、1回水で洗った「洗い米」を供えるのが作法です。これは流派やお見えによっていろいろあるかもしれません。きれいな水・塩があって神様にお参りするときは神様が飲めるように瓶子・水玉の蓋を開けてお参りするのが神棚の二大要素・二台セットになります。こういうところを覚えていただくと神棚は成り立つと思います。

絶対必要とは言いませんが、お札を入れるためのお城(お札が収まるような小さな家)もあるといいです。お家によったらガラスのケースが付いた大きなやつに複数お札を並べているところもあります。そうすると埃もかからないし神様に失礼がないので、そんなものが神棚の1つの設えだと思ってください。

その上で神棚に関しては設置する向きがあります。一般的には南向き・東向きが良いとされています。これは神社自体が南向き・東向きがほとんどなのでそこから来ていると言われています。

その上で神棚は一軒の家のなるべく高くて清潔なところに置くのが良いと言われています。なので2階建てだったら2階の一番上の方に神棚があるのが理想ですが、2階は個室ばかりで神様を供えて綺麗にするのは難しいです。下屋の屋根があるところなら1階でも神棚をおいても良いと言われています。ただ昨今の総二階の家は、神棚をリビング周辺にすることが多いと思います。お家の上には部屋・廊下があることが多いじゃないですか。先回の仏壇の時にも言いましたが、それなら棚の天井部分に「空」「雲」「天」と書いた紙をお札として貼っておけば、疑似的に仮想空間として神様に失礼のないようにお許しをいただくことも最近は多いです。古風な考えのお年寄りの中には「神棚の上が部屋は神様に失礼じゃないか」と言う方もいるので、そういう時は私が言っていたことを思い出してください。

もう1つ知っておいてほしいのは、日本では仏壇と神棚は古来から両方とも祀ってきたものだということです。仏教は仏教・神道は神道みたいな感じで分けているのは宗教だからだと思いますが、日本はそうではありませんでした。神仏が集合して一緒にお祀りして、一緒にお参りすることは日本では普通でした。これが分かれたのは明治元年に政府の方が「神仏は分離しろ」という御達しを出したそうです。天皇制なので基本的に神様なので王政の復興・祭祀・政治を一致して国を推進することを政策としてやりたかったんだと思います。だから神と仏を分けて敬いなさいみたいなことがあったようです。その結果、崇敬の神社で私もお札としておすすめするものが牛の頭と書く「牛頭天皇」です。牛頭天皇はお釈迦様がいらっしゃるところの守り神でした。だからお釈迦様は仏を守るものだったんです。

仏教系で分別されたからかもしれませんが、それが一時期神様はどこにいたらいいのか分からない状態の時があったようです。聞くところによると埼玉県の武寺という古いお寺があり、そこはすごく山奥で政府の力が及ばなかったそうです。そこに牛頭天皇がいらっしゃってその信仰が復活する時にはすごくご利益があると話を聞き、私も以前お参りをしたことがあります。つまり昔の日本は神仏分離というようなものではなく、元々一体だったということを知っておいてください。

牛頭天皇さんは京都の八坂神社で有名なところです。姫路は廣峯神社が牛頭天皇を祀っています。すごく信仰の対象になっていて、とても力のある神様でみんなを守って商売繁盛みたいなことがあるそうです。

その上で仏壇と神棚の両方を置く時の注意点があります。仏壇を置いて神棚置くのはOKで、1つの部屋に並んでいてもいいです。その代わりに下に仏壇・上に神棚という並びで一緒にしたらアカンと言われています。これは何でかと言うとお参りするときにどっちにお参りしたかわからないからです。それが失礼だという風に言われています。あとは仏壇と神棚が向き合うのも良くありません。お参りした時にどちらかにお尻を向けなくてはいけないからです。今日は神棚のお話ですが、仏壇との取り合いも含めて考えてください。

最初に話が戻りますが、神仏は元々一緒だったものなので、神社とお寺の御朱印を御朱印帳に一緒にしてもいいそうです。しかし私が教えてもらった宗教家の方のお話なので、もしかしたら諸説あるかもしれません。

意外と神様はそばにあっていつも感謝するものです。お参りして愚痴を聞いてもらったりもあるので、だんだん年齢を重ねてくると、良いものだということがわかってくると思います。

最後に仏壇で申し上げましたが、神社・神棚に関しては宗教上のことというより実際に生きていく知恵として行動があると思っています。神社には鳥居があり、そこをくぐって行く道を参道と言います。ご神体があってそこでお参りしますが、私の師匠に「これは人間の産道と同じことなんだ」と言われました。つまり生まれる道です。鳥居が生まれ出てくる場所であり、そこを通って中にあるものが人間の子宮という捉え方です。だから母なるものの方に行って感謝を受けてお参りして、汚れ・過ちを全て浄化して、新たな気持ちで鳥居をくぐって外に出たら生まれ変わるみたいな感じです。お札の年末・年始の入れ替えも新しい年に向かって良いこと・悪いことがあってもここで切り替えてまたやっていこうという切り替えのポイントみたいなことです。

そういうことを通じて生まれ変わるという時に新たな気付き・やる気・発想・アイディアが振ってくることが、神社に参ることの効能なんだとおっしゃっていました。当然神様に会ったら愚痴を言いますし、助けてくださいと言うこともあります。でもこの一年無事に済みましたという感謝もします。この中に新たな自分への発想・エネルギーみたいなものが宿るということもありますので、家に神棚があったら綺麗にしてお参りするのは決して悪くないことだと思います。そんなことを気にして神棚を設置していただいたり運用していただけたらいいと思います。ぜひ参考にしてください。

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