今、注目されてる「規格住宅」はアリか?ナシか?
今回は規格住宅について解説をします。
この規格住宅というのは、今俄然注目されてるんです。それは1つ社会的背景があるんですけど、それが何かというと、皆さんが1番嫌な値上げです。建築費用が数年前のウッドショックもそうなんですけど、爆上がり、すごい高騰してるんです。こういう背景で家が高くなって買いにくいな、こういう社会変化が1つあります。
それともう1つ意外とボディーブローのように効いてるのが住宅ローンの金利の上昇というものです。3月くらいですか、この前マイナス金利が解除されましたよね、びっくりしますよね。お金を借りたらこっちからお金をあげるというマイナス金利が、それがようやくなくなった、これから次がゼロ金利政策の解除みたいになっていくんですけど、どっちにしても金利というのはこれから少し上がっていくんじゃないかというトレンドになっています。実際に長期の35年みたいなものに関しては、もうすでに市場としては以前よりもどんと上がっているわけです。
一方変動金利と言われているものに関しては横ばいなんですけど、これがいつ上がるかというのを住宅業界や家を買いたいお施主さんたちは固唾を飲んで待っているというそういう時代背景があります。
その中で今この規格住宅というものは、同じ30坪の家を注文住宅と規格住宅と比較したら割安なんですよ。魅力がありますよね。この時代に割安というのは、これがあるということと、それから規格住宅というのはいろんなことが文字通り規格されてカチッと固まっているので、手続きとか前段取りがトントントンといくんですよ。
どうですか、この話を聞いたら興味湧いてきません?そういうことなので、今日は規格住宅の最大のメリットである、なぜ安いのかというところから、また隠れたデメリットも含めて、どういうふうにこれを捉えて利用していくべきかという、森下なりの解説をしていきたいと思います。
なぜ安いかというのは、標準化されているということなんです。標準化されていると何が良いかというと、例えば5cmという寸法で決まっていたら、前もって作っておけたりするし便利ですよね。でも48mmかなとか、5cmと4mmかなと言われたら聞いてからやると切られないからというようなことがあるから、決まってるとメリットが出てくるんです。資材も施工方法・施工手順も前もって固められるので、材料費を抑えたり、職人さんの手間も結局職人さんの手間賃というのは作業じゃなくて、これはどうやって組むかなという時の前の仕事の段取りを考えるのに時間がかかるんです。考えるのも手間なんです。だから職人の手間賃が安くなるということはイコール家のコストは下がるということで、これが1つとても大きい要因です。
それから2つ目が時間です。打ち合わせの時間です。僕たちだったら構造計算をやったりとか、温熱計算とかをやったりして家の性能を担保しているかということも計算で確認します。これはすごい工数がかかるんですよ。ソフトも駆使したりしないとアカンわけですから。あとは行政の方に許認可、いわゆる確認申請とか長期優良住宅の申請とかこういうことをやっていかなアカンのですけど、これも注文住宅だったら1個1個細かく資料を作っていかなきゃいけないんですけど、規格だとある程度前もって準備ができるのでこれがとてもスムーズにいく、すなわち会社の中の職人さんじゃなくて家の設計図ができる申請が下りるまでの段取りとか手間が大幅に削減できるんです。
工務店的に言うとそんな手間かけてないし、このお客さんが終わったら次のお客さんのお世話ができるからその分価格を下げさせてもらってもうちらが損するわけじゃないからお客さんに還元できる、そういうことで安いというわけです。
3つ目が大きな会社さん、大手ハウスメーカーさんは実は少し苦しまれてます。というのは日本のマーケットとしてのパイが縮小してますから、家を建てる数がべらぼうな勢いで減ってきてるんですよ。そうなってくると昔たくさんの住宅が建ってた時代に生産体制を整えたハウスメーカーさんというのは工場が遊んでる、言い方を平たくするとそういうことです。なのでこの工場の稼働率を上げないと赤字が直撃するということが起きていくそうです。
なので大手の会社さんは原価というか材料だけでええわと取ってきてくれて工場の機械を回せることができたらその分稼働率が上がって設備が遊んだら丸々損になってしまう、それがなくなるから政策的に規格(住宅)でお値打ちなものにしといてたくさんの数をどうにかしてかき集めようみたいな、こんなことがあって安いと言われています。そういう意味で言うと安さの最大のメリットはここから出てくるわけなんです。それ以外にもちろんメリットあるわけなんですよね。
例えば仕様とか間取りというのがすごく明確に決まっているので価格がはっきりしてますよね。だから僕らがそうなんですが、概算見積もり、大体これぐらいみておいてくださいといよいよ最後の1円までというのは少し時間をもらわないと正確に出せないとかありますけど、これが非常に明確なので資金計画がサクッとできるんです。
それからプロがスタンダードなバランスのいい間取りとか収まりを提供しているので、その家はとても汎用性が高い。スペシャルなものというものはある人にとってはスペシャルで良いんだけど、万人から見たら甘い辛いみたいなものです。程よさがなかったりするので、これがオーソドックスであるということも非常に大きなメリットだと思います。
ただデメリットもあるんです。理想を叶えたいとかスペシャルなことをやりたい、そういう間取りにしたい、インテリアにしたい、設備にしたいときは選ばれないということがあります。それから土地の広さとか形状とか方位とかそういう周辺の状況に結構制限を受けちゃうということがあります。分譲地などの広めの敷地でしたら割とハマるんですけど、旧市街地の込み入ったところの建て替えは帯に短したすきに長しだなみたいなことがあるかもしれませんよね。
こういうデメリットを考えながらそのデメリットを上回るメリットがもしあるならば、規格住宅は買いだと思います。規格住宅を少し本気で考えてみようかなという時に注意してほしいことがあります。
お客さんが規格から変えてほしいと言われると、従来の注文住宅と同じ作業量になっちゃうんで価格は上げることになってしまいます。ちょっとの変更でも400万から500万ぐらいは上がります。規格住宅を選ぶと言っても一生に1度の家ということになったらいろいろこんなことも悩むんです。あんな不安もあるんですとお客さんは言いたいじゃないですか。そうすると場合によってミスマッチみたいなこともあるのかなということもあるので、そういうところは気をつけてほしいです。
メリットの多い規格住宅なんですけど、利用するときにはポイントがあるので最後にそこをまとめて話していきます。何より土地から探して家を建てる方に関しては、土地を探す時に規格プランで気に入っているものがあるんだったらそれがはまりやすい土地探さなアカンよね。逆に言うとはまりやすいプランを何プランかあると思うんで選ばなアカンということはあると思います。
それから、いろんな意味でコンパクトに削いでいる家なので、ある会社さんがすごい気に入ったと言っても注文住宅で出してくる標準仕様とひょっとしたら違うところがあるかもしれません。それが僕にとっては大したことなかったとしてもお客様にとっては重要だということもあるじゃないですか。この辺の何が標準として変わったのというところのチェックはされておいた方がいいと思います。
昔のローコスト住宅の中でよくありましたけど、坪いくらとかこの建物いくらと言ってもそれが建物の本体価格だけということがよくあります。見た目の費用を抑える意味で本当は建築を全部するためには別にかかる費用があるのにそこを伏せて出してる時もあるんです。多いのは屋外給排水工事は別ですとか確認申請費は別とかです。諸経費と言われてる建物の登記の費用とか住宅ローンのいろんな諸経費に関してはそれは当然別ですよみたいなことがあって、この費用でできるんじゃないですかということでギャップが生まれることもあるかもしれませんのでそれも注意をしておいてください。
それから多くの場合、規格住宅というのは空調が別ということが多いと思うんです。エアコンは量販店で買ってくださいと。でも快適な家というものを考えた時に、空調選びというのはとっても重要なので、ここも少し頭に置いておいてもらえたらうまくいくんじゃないかなと思います。
僕たちは自由設計を中心にやっている会社ですが、規格住宅に一回挑戦してみようかなと思っています。ただうちが規格住宅をやる限り絶対譲れないものが基本性能です。耐震性とか断熱性、気密性とかそれからパッシブ設計というところになってくるので、この辺はもちろん抑えた形でやれるように考えております。時々これは収納を犠牲にしてるんじゃない?とか家事のやりやすさの生活・家事動線に少し妥協してるよねみたいなのもあったりするので、僕らとしてはせっかく規格やるんだったらそういうのを盛り込みたいと思ってます。そして絶対に考えたいのは全館空調です。
うちのスタッフたちが頑張って設計まとめてますので、よかったらそれもこれから皆さんにPRをしていきたいと思っているので、そういうのも参考にしながらうちにしてというわけじゃなくて、そういうことも抑えながら1番自分たちが買うべき規格住宅を選んでいただけたらと思います。