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家づくりのキーパー、現場監督が重要な理由

今回は現場監督について解説をします。

現場監督がやることって何かというと、工事管理だと思います。この「工事カンリ」には、監督者の監と書いて「工事管理」という言い方と、管と書いて「工事管理」という言い方と、2つあるんですけど、これって似てる感じがするし、現場監督の監が入っているから同じような気がすると思うんですけど、僕たちの専門の世界ではちょっと違うんです。

工事監理に関しては、管理をする管理者は誰かというと、設計者になります。そのお家を設計された方が管理者になります。わかりにくいかもしれませんけど、設計図を書くじゃないですか。その設計図通りに家が建てられているかを管理するイメージです。目的・業務内容は、工事が設計図通りに施工されているかということとか、それにまつわる品質基準がありますから。例えばコンクリートの強度は基準強度で施工されているか、配筋のピッチは設計した通りになっているかということの工事監理です。

一方の工事管理は、言い換えると施工管理と申し上げてもいいと思うんですけど、工事の施工そのものを管理をしていきます。管理者は現場監督さんになります。目的と業務内容は、スケジュール・工程というものも含んだ総合的な管理になると言われています。現場監督さんは工事管理をやる設計者の方は仕事が絞られてくるんですけど、現場管理の方は広く包括的・総合的にやることになります。なので守備の範囲が広いんです。現場監督さんはキーパー・管理者だと思っていて、家づくりのキーパーが現場監督だと思っているので、そういう意味で言うと広くやるということがそこに凝縮していくのかなと思います。

工事管理・施工管理をする現場監督さんが行う業務は4大管理というのが有名なんですけど、よつあります。順番に言っていきますね。

1つが原価管理。お客様からご予算を与えられ、会社としては事業でやってますので、当然会社には利益を残すということです。それから協力していただける納材業者さん・職人さん、そういう方に仕事を分割して発注していくということもあります。

次に工程管理。これが一番よくわかると思うんですけど、全ての工事には納期があります。いつ引き渡し・完成させるのかってことです。こういうスケジュールや納期にまつわること。それからその納期どおりにやるために様々な下段取りが要るんです。その下段取りが工程管理になります。

そして3つ目は品質管理。先ほどの設計者による工事監理の中にもありましたけど、ちゃんと設計者が書いたもの通り建物が完成されている・作られているのかということです。そうすると結果の管理だけをしているのかというと、現場監督が違うのはプロセスもチェックしてるんです。

できあがってしまったらわからない部分もあるじゃないですか。その過程もちゃんとやられているのか。例えばコンクリートは典型なんですけど、コンクリートはドロドロの生コンを型枠の中に入れて作るんですけど、この型枠はコンクリートが十分固まってから外さないとまずいじゃないですか。プリンが固まってないのにカップを取ったらプリンがベチャーとなってプリンにならないじゃないですか。コンクリートも一緒なわけです。

例えば、夏は温度が高いので非常に早く硬化します。冬は温度が低いのでゆっくり硬化します。ということになると、型枠の存置期間と言って、型枠を何日間保持してコンクリートの基礎がプリンがへしゃげたようにならないために、プロセスのチェックもせなアカンわけです。

できあがったら、よっぽど倒壊しそうとかぐちゃぐちゃになってない限りは、見た目ではよくわからない。見た目でよくわからないからいいんじゃなくて、過程も抑えておかないとアカンことなんです。でないとパッと見わからないけど、型枠をさっさと外したために何か問題が起きることもゼロじゃないので、そういうことなんです。

そして、工程の段取りにも関わってくるんですけど、設計者というのは基本設計・詳細設計を書くんですけど、もう1歩でミクロの視線で現場を考えたら、図面通りに現場が収まらない場合も多々あるんです。これをミクロベースで現場の絡みを含めて収まるように考えるのは施工図という、もう1段階細かいものです。こういうのも現場監督さんが書くことによって現場がかっちり収まるように管理するということも、ここに含まれると思います。

そして、目立たないけど超重要な安全管理です。例えば、製造業の世界では安全第一という言葉は当たり前ですよね。せっかく家ができても、そこで誰かが大けがしたり、あってはならないことですけど、死亡事故が起きたら絶対よくないじゃないですか。なので命を守るための仮設と言われる、例えばご近隣に迷惑をかけないための仮囲いとか、外の作業をするための足場といったものがどういう風に組まれて使われているかというところです。命を守っていく安全管理、それから安全周りに衛生という部分もあるので、一説では安全衛生管理って言い方もあるので、例えば現場の美化とか、夏の暑い時期やったら働いてる人が熱中症にならないようにとか、そういうのあるじゃないですか。それから工事をしていたら必ず一定の産業廃棄物が出てきますので、これの処理を円滑に不法投棄がないようにマニフェストに基づいて処理されていることを見るという感じです。

管理・工程・品質・安全なので、現場監督さんが担うことは結構ボリュームがあるんです。なので、これを完全にものにする・理解するのには一定の月日が要ると僕は思います。最近は現場の人が年いってきたとか、若い人の成り手が少ないなっても育たないという問題がある中で、例えば原価管理では実行予算と言って予算を組んだり発注をするところを専門部署で分離することはありますけど、最後の査定というところは原価管理でもせなアカンですよね。現場が発注したいんだけどミスや思い違いがあって予算を減らす・増やすことが出てくるので、この査定は現場・プロセスを見ている人間じゃないとジャッジができないので、ここは切り離しても要ると思います。

こういうことを全部網羅してやっていくので、すごくスキルがいるし責任も重いということはわかってもらえると思います。特に僕は個人のお家を建てることが多い工務店の社長なので、その時にこれ以外で重要なことがあります。それが当たり前ですけど、施主様の対応です。

お客様の対応というのは、家づくりを考える時に一番最初に会う人は営業マンあるいは基本設計を提案する人ですよね。当然営業マンはお客さんの要望・希望を聞くし、基本設計はそれがわからないとできないですから。営業マンはお客さんの気持ちがわかって作っているんですけど、工事の人間はその背景が分からないことがあるんですけど、現場が始まったら現場の人に言うようになるじゃないですか。

その時にお客さんとの対応に並行して、社内の引き継ぎをちゃんとやっていくことも、施主様対応の要素なんです。これはめちゃくちゃ大きいですよね。上手にお客さんの気持ちを汲めてなかったら、お客さんも不安になると思うし、文句の1つも言いたくなると思うので、これはとても重要です。

それからもう1つ忘れてはいけないのが、工事をやるときは必ずご近隣がいらっしゃるので、ご近隣に迷惑をかけずにはできないので、ご近隣との対応というのもあります。そしてもう1つ現場監督が悩む・戸惑うのは、職人さんは専門職で一徹な人が多いから、ある面では厳しさ・真面目さの裏返しなんですけど、やり取りが難しく怒られたりするようなこともあるから、業者さん・職人さん対応というのもあります。対人との対応も、現場監督の重要な要素なんです。

これが大きな会社とか役所から発注される仕事の現場代理人・現場監督になると、プロ同士の会話に近いところが出てくるから、コミュニケーションで言った・言わないという問題に、それから向こうの気持ちを汲み取れずに不用意に返してしまったことに対して謝ることも、やりやすいところがあるんですけど、個人のお客様はそういうところに関してはご不安が強いので、難しさもありますよね。なのでここも大きな要素です。

工事がスムーズにいく、みんなが気持ちよくなる、それにはそこが大きいのかなと思います。現場監督さんはベテランと若手の方のペアリング、どういう形かわかりませんけど、必ず上司と若手がペアでいることが重要だと思います。ベテラン・上司という人がなぜ必要かと言うと、何でもそうなんですけど、集中して管理すると視野が狭くなります。集中するからいいわけで、その時に見えてないところをカバーするのがベテランですよね。大局観みたいなものです。それから集中していったりとか、現場が住宅の場合は掛け持ちになることが多いので、何を優先すべきか混乱することもあるので、これを優先していこうと方針立てするのも上司・先輩・ベテランの人の仕事になってくるので、こういうところがどんな風にやられているかもちろん最近は、例えばアンドバットやダンドリワークさんのような現場のコミュニケーションツールがみなさんのLINEみたいな感じです。そういうものより高度な工事に特化したものがあるんですけど、そういうものでカバーすることも含めて、これがとても重要になってきます。こういうことを全部頑張ってやるという人が現場監督なので、重要なんです。

ここからは工務店のオヤジからのお願いみたいになりますけど、そういうところを抱えていく中で、若い子が先輩たちの助言を得ながら頑張ってやっていく中で、お客さんが不安になられたことでうまく対応できないケースも、僕はゼロじゃないと思います。その時は上司の方に言ってやってもらうみたいなこともやってもらえるとスムーズにいくし、僕もそうでしたけど、そういう摩擦があるといろんな面でギクシャクしてしまって仕事がカクカクするみたいなことは僕も昔にありました。そんなことで一緒に

お金を払ったんだから100%できて当たり前という気持ちはわかります。僕もお金を払うときはそうだからだけど、家づくりは共同プロジェクトなので、チームメンバーとしてお施主さんも一員なんだと思ってもらう方が僕はいいのかなと思うし、こういうのは昭和のジジイの戯言かもしれませんけど、気持ち・魂が入るところがあるので、そんな風に思ってやってもらえたら助かるなと思います。

若手の監督が担当になったら心配に感じたり、大丈夫かなと思われる時があるんですけど、僕が若くてもこいつ大丈夫やなと思う3つの視点があるんです。

最後にそれを言っておくと、まず挨拶がちゃんとできる人がいいです。そういう人はいろんなことに対してスムーズにやっていたり、メリハリがついていることが多いです。そして当たり前ですが、時間が守れる人です。遅刻してきたりするのはアカンと思ってもらっても仕方ない。だから時間が守れないという時は厳しく言ってもらっていいと思います。

それともう1つが、僕の持論なんですが、現場回りは車で回ることが多いので、必ずその子が乗っている車があります。その車が綺麗かどうか、外側が汚れてることもあるんですけど、忙しいから弁当を食べる間もなくてコンビニ袋にゴミが入ったままなのはご愛嬌とか、そういうことじゃなくて、例えば現場監督は道具が結構要るんです。そういう検査するためにも要るし、職人さんを呼ばなくても済ませといたら抑えられることに対して欲しい道具があって、そういうものをある程度整理整頓することができる子は優先順位を見失ってないことが多いです。

現場監督さんにそういうことを厳しく言い過ぎて凹ましたり、ひどかったら辞めちゃう子もいるんですけど、でもそれはその人を責めたくて言ってるわけじゃなくて、いつも綺麗にしておくということは前もって段取りを済ませておくということに繋がるし、優先順位を見失わんようにすることにつながるし、それからロスなくスピーディーに現場回りができることにつながるんです。急がば回れという言葉がありますけど、ちゃんと道具を綺麗にするのは時間がかかるから手間なんですけど、それに時間かけることで結局は早くなるよというのが現場の真理だと思うので、そんなところで見てやってもらって、ちょっとこの子、車が乱れてるんじゃない?と思ったら上司に大丈夫ですか?と言っていいと思います。

そうやって逆にお施主様にも若手の監督さんを育てていただくための応援をしてもらいたいと思うので、もしこの動画も最近学生さんが見てくれてることもあって勉強になりましたということもあるので、もし若い建築を志す人で設計・現場を目指してる子がいたら、設計も一緒です。挨拶も、時間管理も、机の上が綺麗になっているようなことも全部、あなたの設計品質を上げる、あなたの力をつけていくために必要なことだと思うので、これはエンドユーザーの消費者の方に言うことじゃないんですけど、共同プロジェクトでそんなことを現場で思いながらやっていると知ってもらえたらと思うので、蛇足ですけど付け加えさせていただきます。諸君はそういうのを念頭に、僕みたいな昭和チックなおじさんがギャーギャー言ってるのはお説教してるのではなくて、それがあなたの実力を育てるための要素なんだと理解してもらえたらなと、僕の言い訳に聞こえるかもしれませんけど、思ってもらえたらと思います。

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