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私が2Fリビング・ダイニングをオススメする理由

今日は2Fリビング・ダイニングのススメについてご紹介します。

最近は2Fリビング・ダイニングというものもとても素敵だなと思っていて、オススメする理由に関して解説をしていきたいと思います。

いよいよこれから家の設計に入るという時、どのようなご希望があるでしょうか。いろいろあると思いますが、その筆頭に出てくるものは「広いリビングが欲しい」という
お考えではないでしょうか。

僕も若い頃は「広いリビングが欲しい!」「何はなくとも広いリビングだ!」と思っていましたから、みなさんがそういう風に思われるのもよくわかります。

広いリビングというものについて、歳を重ねてきて思うことがあるんです。身も蓋もない話をすると、「世の中の多くの人は大抵、家にいる時くらいはくつろぎたいと言う。でも家でのんびりできる人なんて現実にはほとんどいない」と考える方もいます。

いやいや、それを言っちゃおしまいよ。みたいな感じなんですけど、家では案外のんびりくつろぎにくいという現実もあります。

以前から、「家にはいろいろ機能的なものも必要だけど、家事がサクッと終わってくつろげる時間を作ろうよ」ということを言ってきました。ただ、今回はスペースの話です。

以前からよくご紹介している、藤山和久さんの『建築家は住まいの何を設計しているのか』という本があります。この中で出てきた言葉で「なるほど」と思ったことを紹介します。

日本人の建築家の大家に、宮脇檀先生という素晴らしい住宅設計の大家がいらっしゃいます。その弟子たちが住宅設計をして「リビングのある家を作りましたので先生見に来てください」と言うので、宮脇先生が見に行ってみたら、「ちっともこの部屋は生きてない」と。つまり「リビングしてない部屋やな」とお叱りを受けたということです。

リビングという言葉は、外来語ですよね。日本にはリビングなんていう言葉はありませんでした。近い言葉を挙げるとしたら、茶の間とかですかね。

リビングというのは、外国では暖炉を前にしてパイプを咥えたお父さんが揺れる椅子に座っていて、そばで子どもが遊んでいて、こっちではお母さんが編み物をしていて、みたいな感じで語らう・団欒するみたいなイメージです。

日本は、リビングで語り合う・団欒するというライフスタイルがあまり定着していないというか、リビングを上手に使えていない。なのに広いリビングを作った結果、「これは生きていない」と宮脇先生がおっしゃったようなんです。

日本人は、暖炉の火の前のようなリビングはあまり馴染みがないし、使える人もいると思うけど少ないです。一方で、日本人がノスタルジックな気持ちになる囲炉裏端というものがありますよね。

僕が子どもの頃、うちの爺ちゃんの家には囲炉裏がありました。男衆が車座になって、近所の爺ちゃんたちが酒盛りをしていたのをうっすら覚えています。

この囲炉裏端を囲む飲み食いが、日本人にとってのくつろぎとか家族・外部の人との豊かな交流みたいなものだったんです。

広いリビングが欲しいと人は言うけど、現実的に日本人が望むものは暖炉を囲むようなリビングじゃなくて、食べることなんだと宮脇先生はおっしゃっています。

61歳になって、これはホンマにそうやなと思います。だから宮脇先生は、リビングじゃなくてリビング・ダイニングが日本人には必要なんじゃないかとおっしゃっているんです。

僕には社会人になった娘が2人います。僕にとっては可愛い娘たちなので交流したいのです。ただ、娘たちは仕事をしているし友だち付き合いもあるから、忙しいですよね。でも唯一、話ができる時があるんです。それは食事をしている時です。

「だいぶ仕事には慣れたか?」とか、「何か困ったことはない?」「最近どんなことがあった?」「そうそう こんな映画があって」など娘と話せるのは、全部食事中なんです。リビングのソファーに娘と2人並んで「お父さん」と言われることはもうありません。女房ともそうです。

食べる時・お茶を飲む時に語らいをする。その時に初めて、「なんかゆっくりできていいな」みたいな感じが僕はあります。

広いリビングはいいんですけど、重心を少しダイニングに持ってきてもらって、ダイニングスペースをしっかり取ることが重要ではないかなと、2Fリビングだろうが1Fリビングだろうが思うんです。

「塔の家」という有名な建物があって、その設計をした東孝光先生が、『食べる空間・つくる空間』という本を著作されています。

例えば、4人家族だったらこれぐらいのテーブルという大きさがあります。大体1200〜1300mmぐらいの横幅で80〜90cmぐらいの奥行きです。

東先生は、それより一回り大きいテーブルを提案されています。おっしゃるには、(奥行き)90cm×(横幅)180cm
畳1枚分ぐらいの大きなテーブルをぜひ設えなさい、と。その心がリビング・ダイニングだと思うんです。

それぐらいのテーブルがあったら、6人の大人が座れて食事ができます。お父さんとお母さんが喋っている横で子どもが宿題したり、家族がある程度の距離の中で顔を突き合わせて、同時に同じ空間にいられるんです。

これからの家づくりに関しては、リビング・ダイニングというのを考えていただきたいのです。

そして今日の命題である、2Fリビング・ダイニングの話になります。うちの若い設計士たちが言っていました。「1Fは玄関を作らないといけないし、玄関の収納も広く取るとリビングのスペースが減るから、思い切って2Fにリビングを持ってくるのもアリですよね」と。

ましてや都市部って、1Fに日が入らないところも多いです。2Fリビングにすればそういうのが全部解消されるから素敵じゃないですか、と。

もう1つ大きいのが、例えば南側道路の敷地が欲しい人っていっぱいいるじゃないですか。でも南側に大きい窓を取って1Fリビングを作ったら、すぐそこに道路があって
通行人・車からすごく見られることになってあまりゆっくりできないんです。

実はリビングというのは、お客さんも来るのでパブリックなスペースだと思いがちですが、リビングこそ寝室に匹敵するぐらいのプライベートな空間です。

例えば今7月に収録していますが、僕は今の時期はパンイチ・Tシャツで家中を歩いています。でもすぐ目の前が道路だったら、さすがの僕でもちょっと恥ずかしくなります。

ましてや、うちの女房・娘も薄着です。家族だからいいけど、家の前を同級生の友だちが通ったら、ましてや異性の友だちが通ったら、娘は嫌ですよね。

リビングがプライベートな空間だとしたら、2Fにリビングを持っていくとプライバシーを守りやすいです。視線をカットできるし、日当たりもよくできるじゃないですか。

なのでそう考えると、リビングを広く取れるということで2Fリビングを選択すれば、ダイニングも広く取りやすいです。そしてダイニングを充実させることによって、家族で語らいやすくなります。

夏場に薄着でいたり冬場にゴロゴロしてても、外からの視線が気にならなければ、純粋に家族のためのスペースになりやすいから、2Fリビング・ダイニングって豊かな空間なんです。

藤山さんの本に書かれていて本当に目からウロコだったのが、そもそも家族が集まらないことを考えたら、家族がリビングでのんびりくつろぐという目的を手放したらどうか?という提案です。

すごくないですか?リビングでくつろぐなと言うんですよ。ある面、無茶苦茶ですよね。それはどういうことなのか、もっと具体的に言うと、「リビングからリビングテーブルをなくせ」ということです。

判で押したように、みなさんリビングテーブルを置いていないですか?テレビのリモコンを置いたり、お茶を飲み終わったら置くみたいな感じで使いたいのですが、あれがあるが故にリビングが制約を受けるんです。

テーブルを取り払って、さぁ何をしようか?ということです。のんびりくつろぐという視点から言うと少し外れるかもしれませんが、例えば大画面で映画を観ることができます。あるいは大画面でテレビゲームもいいですね。

意外と困るのが、家で運動するスペースです。腕立て伏せ・腹筋とか、最近はうちの娘もよくやりますがYouTubeを見ながらのヨガもできるようになります。

極めつけは、うちの友人がある動画を見せてくれて、家族でフラダンスをガチでやっているらしいんです。僕はそれを見てキュンキュンしました。

僕も娘を持っている父なので、娘が目の前でフラダンスを踊っているのを見られたら、ホンマに至福の時間だろうなと思って。「お前 至福やろ!」と言ったらそいつは「はい!」と言っていました。

そんな感じで、リビングでのんびりくつろぐんじゃなくて、アクティブに使うことにもし使えるなら、リビングは がらんどうの広い空間でもOKですよね。ソファーを置く必要もないかもしれません。

一応、ちょっと寝転ぶ時のためにソファーがあったらいいから、僕は1つぐらい置いてもいいと思いますけどね。最悪なくても、今はyogiboみたいないいものがあるので、あんなものを置いてもいいと思います。

リビング・ダイニングは1Fでやってもいいんですけど、2Fでやった方がよりスペースを大きく取れて、プライバシーを確保できて景色のいいものが目の前にあったら、それも取り込めて年中味わえるという利点があります。

歳を取ったら2階に行くのが大変になると思って、2Fリビングを嫌う人もいますが、それを乗り越えられるくらいの利点もあるということを思ってもらって、参考にしてもらえたらと思います。

最後に宣伝になりますが、当社の新しいモデルハウスが7月末に完成して、2023年8月から一般公開いたします。

「森下がそんな大層に言うなんてどんな空間か味わってみよう」という方がいらっしゃったら、ご自分の家づくりの一助にしてもらえたらと思いますので、ぜひご覧ください。

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