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何畳用のエアコンを買うべきか?見極める方法

今日はエアコンの選び方についてお話しします。

夏が近づいてきたので、エアコンを買おう、あるいは買い替えようという人が増えてきていると思います。先日も、「エアコンってどういう目安で選んだらいいんですか?」と難しい質問を受けました。

みなさんと一緒に、1つの見立ての方法の手順を確認していきたいと思います。松尾先生から教えていただいたエアコンの暖房の負荷から必要な暖房の能力を計算する方法です。

元々これは家全体で当てはめる計算方法ですが、個別の部屋で当てはめてもいいのかなと思ったので、そういう形の計算式として解説していきます。

夏場なんですけど、暖房能力というところから当たりをつけて、夏にふさわしい冷房能力もさらに追加で確認する感じだと思ってください。

欲しいエアコンに必要な暖房の能力は、この式で出します。

まず、その部屋のQ値が必要です。Q値とは、外に熱が奪われていく時の熱の逃げやすさを表す単位になります。

Q値って言われても、自分の家のQ値がいくらかわからないと、最初からつまずくことになりますよね。今はいろんな住宅メーカーさんが類似の言葉でU値・UA値と言っていることがあるので、これが比較的みなさんもわかりやすいかなと思います。

だいたい今、新築で売っている家の最低レベルのUA値は、0.87です。これをQ値に換算すると2.7です。自分の家は特別に高気密・高断熱じゃないけど普通の家だと思われるんだったら、Q値は2.7だと思っておいてください。

一方、HEAT20のG1と言われているやつはUA値で言うと0.56です。0.56をQ値換算するとだいたい1.9と言われています。

UA値0.46が、いわゆる世間で言うG2レベルです。エアコンをどうすべきかと考えるような人は、大体0.46ぐらいの性能になっている家だと思います。これをQ値に置き換えたら1.6です。

古い家だと、Q値は2.7以上に大きいです。程度によるからわからないですけど、3・4・5とかになります。一昔前の次世代省エネ基準を満たしていたら、Q値は2.7と思ってもらってそんなに間違いないと思うので、まずはそういう形で思ってください。

それに、C値を10で割った数値(C値/10)を足します。C値とは、その家の建物の隙間の度合いを表す単位になるのですが、気密工事を意識的にやっていなくて次世代省エネ基準(UA値0.87ぐらい)だったらC値は5と見たらいいと思います。あまり深く考えないでください。あとは性能のいい家は1以下なので1とか、ちょっと余裕を見て2とかにしてもらったらいいかなと思います。

これに対して、その部屋の面積と温度差を掛けていきます。面積は、例えば6畳の部屋は約9.72m²、8畳は約13m²、10畳は約16.2m²になります。

温度差というのは、冬に設定する温度なら、まず自分が欲しい温度を出します。冬は暖かいに越したことはないけど、最低これだけの温度は欲しいという線があると思います。人それぞれなので、お好みで欲しい温度を入れてください。僕は20℃ぐらいで計算したらどうかなと思っています。

それから、年間最低気温を調べます。自分が住んでいる地域で真冬の一番寒いときの平均温度があるじゃないですか。僕は6地域の姫路に住んでいますが、ちょっと寒いなという時は0℃です。今日はだいぶ冷えるなという時は-1℃になります。

稀に-3℃とかあるけど、1年に1〜2回しかない-3℃で見るよりは、恒常的に寒いのは0℃ぐらいかなという感覚です。北海道へ行ったら-10℃とか、地域によって捉え方が変わるので、そこはそう理解してください。

これらがわかった上で計算したら、例えば普通の断熱基準の家だったら、だいたいQ値2.7です。C値は悪く見て5で、C値を10で割った数字に6畳面積(計算しやすいように丸めて10m²)を掛けて、20℃の欲しい温度から最低温度を引いた差が20℃です。これを合計していくと0.64kW、正確には640Wと出てきます。こういう形で見てもらったらと思います。

0.64kWは、自分の部屋を暖めるのに必要なんだと判断してもらうんです。ここで初めてエアコンの品番・スペックとか能力が書いてあるところを見ます。そこには暖房のふさわしい広さの目安と、冷房のふさわしい広さの目安が、何畳とかm²で書いてあります。

次に暖房機の能力が書いてあります。6畳用エアコンの例でいくと、暖房能力が2.5kWです。そして2.5kWの能力を発揮する時に、消費電力は450W必要だということが読み取ることができます。

この暖房機は2.5kWは普通に出せるとなると、さっきの部屋に必要なkW数(暖房能力)は
0.64kWだから、明らかに多いじゃないですか。だから十分に暖まるということです。なので意外とエアコン1台でも、普通の家だったら効くんです。

昔の家みたいに、無断熱でQ値10とか、気密がスカスカでC値が5もある場合、同じ10m²の広さで20℃の温度差で言うと、合計2.1kWです。スペックの古い家でも、2.1kWあったら暖房できるという理屈で言うと、2.5kWだったら効きますよね。だから量販店とか電気屋さんは2.5kWを勧めてくれるんです。

買う人の家がどんなスペックなのか、電気屋は関係ないじゃないですか。「お宅のQ値はいくらですか?」と聞かれたことないですよね。広さだけで間違えないように作られているんです。

だから僕は、普通の高気密・高断熱の家だったら少々の広さのある部屋でも、6畳用をつけておけばいいと言っています。ただ、床下エアコンで家1軒を暖めると言ったら、もっと大きいやつを買わないといけません。

でも、区分暖房・区分冷房みたいな感じで小さい部屋ずつやっていくなら、普通の家だったら6畳用で大体ことが済むんです。でも心配だからと言って、「6畳用でええやん」と言っているのに8畳用を買ったりしますよね。もし暖まらなかったらどうしよう、という気持ちがあるから。

大事なことは、何畳用のエアコンを買うべきかという時に、自分の家はそもそもどういう性能なのかを押さえないと、いい買い物ができません。これを今日は一番知っておいてもらったらいいかなと思います。

ちなみにこの計算式は日射取得0だから、真っ暗で太陽の光が入らず全然暖まらない部屋の例です。しかも0℃ということは朝一番です。一番不利な時間の計算例だから、日中に太陽の光を取り込んだあとの夜だったら、これはかなり余力がある計算なんです。余力の余力の余力みたいな感じです。いかにエアコンを過剰なスペックで人は買いがちだということが、なんとなくわかってもらえたと思います。

そしてその上で、温暖地に関しては暖房能力だけで選んだ時に、冷房能力が足らない時があります。どんな時かというと、日中の光が部屋に入りやすいような造りになっている時です。あとは、屋根・天井の断熱が弱い時。夏場は太陽の高度が高いので、屋根の断熱が弱かったら思った以上に熱が入ってくるんです。

それから西日がガッと入ってくるとか、窓ガラスがLow-Eガラスじゃなくて太陽の光の跳ね返りが弱い時とか。もっと言うと窓に庇とかシェードがなくて、直射日光がバンバン入ってくるみたいな時は、足らなくなるというか、エアコンに無理させるみたいなイメージですかね。

無理させたら何がいけないかというと、電気代が余分にかかるからです。エアコンはある程度余力を持って動かす方が、APF・COPとか言われている効率は良くなるので、余力は当然あっていいです。ちなみに、6畳用以下もあるけどすごく高いです。だから「2.5kWもなくても1kWでええやん」と言うのではなく、そういう判断をしてもらったらいいと思います。

これで足らないとはどういうことなのか。詳細に冷房負荷を計算すると、日射がガンガン入っていたら1339Wで、日射遮蔽がちゃんとできて庇があったら522Wぐらいの幅で負荷がかかります。最小運転で0.6kWぐらいだから、足りるんですけど暖房みたいな余力がないんです。

それでも暖房で一応見ておいたら、そんなに狂わずに選べるんですけど、2階で断熱が全然効いてない部屋だったり、窓ガラスに対する遮蔽ができてなかったら、足りないことがあるかもしれないぐらいな感じです。

まとめていきますね。自分の家のエアコンは何畳用を買ったらいいかを見極める時は、自分の家のQ値(UA値)がどれくらいなのかを知るのがまず大事です。主に新築をこれから考えている人に向けて言うと、そんなに大きな心配はなくて、6畳用でやればいいと思います。

でもこれが古いお家で、断熱性能がないのであれば、畳数に合わせたスペックのエアコンを買っておかないと暖まらないし、冷房も効かないです。だから古い家でやる時は、あくまでカタログで言う推奨の広さで選んだらいいと思います。でも、もっと断熱改修しようとか窓を二重窓にして強化しようとか、よしず・すだれをしようと思う人は絞ってもいいのです。

結局大きいエアコンはイニシャルコストがかかります。余力を持って運転できる側面はあるんですけど、電気代も時に余分にかかることがあるので、ぜひそういうことをこの式から理解してもらえたらと思います。

ここまでの話で難しいなと思われた人には、前も紹介したんですけど、さとるパパさんのブログ「さとるパパの住宅論」がおすすめです。数値を入れたらパパッと計算できるものをサイト上に作ってくださっているので、これで計算したらある程度わかると思います。

こんな計算が嫌だと思うんだったら、あなたの家の断熱計画をしている設計士さんに何畳用のエアコンを買うべきか質問していただいて、そこはプロに委ねられたら一番いいのかなと思います。

ポイントは、今時の断熱性能の家では意外とエアコンが小さくて済むということ。それから、太陽のコントロールができなかったらエアコンは無理に働かせることになる、ということを知っておいてもらったらいいのかなと思います。ぜひみなさんの暮らしの役に立ててみてください。

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