生活防衛のための太陽光発電について【電気代高騰時代なので絶対確認!】
今回は、生活防衛のための太陽光発電についてお話ししたいと思います。
最近、電気代がすごく高くなりましたよね。そんな時代に入ったので、今日は生活防衛という視点で太陽光発電について一緒に考えていきたいと思います。
これまでも太陽光発電がアリかナシか、損か得か、といった話をしてきました。私は、師匠である松尾先生の教えもありますし、自分でも実体験の中で太陽光発電の有益性を感じています。でも、相変わらず世の中ではそういう議論を未だに繰り返している人もいらっしゃるじゃないですか。
以前、ひろゆきさんという論客の方が、個人の家の太陽光と国のエネルギー政策みたいなものを1つの土俵で議論しているような形で、「太陽光なんかダメだよね」という論調の動画でした。半年以上前のものらしいですが、未だに観られます。
ひろゆきさんには申し訳ないですが、そのことに関してはミスリードされていると思いましたので、ここはもう1回みなさんと情報を分かち合った方がいいなと思い、今回のテーマにしました。
私の友人に、九州のエコワークスさんという素晴らしい工務店さんがいます。先日、そこの小山社長からいい情報を教えていただいたので、まずはそのことを切り口に解説していけたらと思います。
小山社長は京大を出られた方で、すごく頭のいい方です。社会活動にもとても熱心で、太陽光発電を古くから研究されているし、政府の諮問機関の委員会に近い所にもいらっしゃって、ちゃんと正しい情報を集められています。僕もとても大事な情報源というか、師匠の1人だと思っています。
その小山さんが、「2024年の太陽光の買い取り金額が決まりましたよ」と教えてくれました。今年は16円ですが、引き続き16円ということになって、据え置かれましたねと。毎年どんどん下がると思っていたので、朗報だと思いました。しかし、実はそれだけじゃないということを教えていただいたので、そのことからお話ししていきたいと思います。
そもそも同じ16円であっても、太陽光を載せるお客様にとっての便益に関しては、インパクトが変わってくるのです。そもそも、太陽光発電はアリかナシか・損か得かという議論の前提が、実は変わっているという現実をまず覚えていってください。
これまでの議論では、損か得かということでシミュレーションをしてきましたが、電気代は27〜28円/kWhみたいな形で試算をしていることが一般的です。でも今、例えば東京電力さんのエリアではなんと約40円、関西電力さんのエリアでも約32円になっているのです。
議論の前提となる電気代が、東京だったら1.5倍弱、関西でも1.2倍弱も上がっています。少ない金額での16円と、電気代が実質上がった時の16円って、ありがたみが違いますよね。昔は売電して売電収入で得・損と言っていたけど、今は違うのです。売ることじゃなくて発電して、それをどうやって自家消費するかということに焦点が変わってきています。
以前、おひさまエコキュートについてお話ししました。まだ観ていない人は、観てみてください。「蓄電池がもてはやされているけど、おひさまエコキュートで昼間の太陽光発電の電力でお湯を沸かした方が得」という話をしています。
▼蓄電池よりすごい”おひさまエコキュート”について解説します
https://www.m-athome.co.jp/movie/chikudenchi_ohisama_eco
エコキュートはみなさんも知っていますよね。夜の安い深夜電力で沸かすから得だと言っていましたが、今は深夜電力がとても高くなっています。昼間に太陽光でダイレクトに沸かす方がずっと得だから、自家消費が大事という風に論点が変わってきているのです。
小山さんいわく、国が16円と決める時にどうやって決めているかというと、国の委託先である調達価格等算定委員会があります。ここは諮問機関で、令和5年以降の調達価格等に関する意見書を出しています。
・令和5年度以降の調達価格等に関する意見
https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20230208_1.pdf
・資源エネルギー庁のHPより
https://www.meti.go.jp/press/2022/03/20230324004/20230324004.html
この意見書はA4サイズで125枚もある立派な資料で、国に「16円でいったらどうですか?」と提案し、資源エネルギー庁が来年も16円でいくことを決めたのです。
その話だけを聞くと、何が得なのかと思うでしょう。国は太陽光発電を持っている人の自家消費分の利益について基準を設けていて、その基準の電気代を26円ぐらいで試算しているらしいです。でも実際は27〜28円だし、もっと高いとも言えます。
元々の議論よりもベースの電気代が高くなっていて、その上で厳しくしていかないといけないという背景がある中で、それでも26円で見て16円に決まった。つまり、16円は個人の太陽光を載せる人にとってすごく得な条件になっているんです。
太陽光の取得コストは年々下がってきていて、絶対に来年はもっと安くなります。同じ16円でもリターンが大きいということになります。もちろん、自家消費することを前提にしています。ポイントは、来年16円と決めたらそれが向こう10年間据え置かれるということです。
今年はいきなり30%ぐらい電気代が上がったと言われていますが、それをベースにしてこれから年2%ずつ累進でどんどん上がっていきます。例えば、今年100円だったものが来年は102円になり、その次の年は102円の102%と、累進で上がっていくわけです。10年経ったら電気代がかなり上がっているはずです。
しかし、太陽光の自家消費という特権を10年間固定できます。電気代が上がっていくという変化があっても、太陽光発電は10年間を先買いするようなもので、安いままで固定するため10年間安心して過ごせるのです。これで見通しが立ったなと思えるし、生活防衛のためにはますますいいと思います。
さらに、師匠の松尾先生が先日、新建ハウジング新聞という厳しい目を持ったプロが読む新聞に、太陽光発電に関する記事を掲載されていました。それも最後に紹介したいと思います。
この記事では、建物の断熱性能と太陽光発電を考慮した暮らしのトータルコストの相関性を細かく分析されています。分析されているのは、断熱性能が平成28年度基準(最低基準)の家と、HEAT20のG1基準、今スタンダードになりつつあるG2基準、さらにG3基準、あるいはG3だと高すぎるのでG2.5(造語)という基準も含まれています。
こうした断熱性能の強弱が、電気代の上下のあり・なし、太陽光発電のあり・なしでどう変わっていくのか、ホームズくんというシミュレーションソフトを使った結果が出ています。
結果としては、電気代が一定で上がらず、太陽光発電を載せないケースでは、平成28年度基準の断熱性能では27年まで得だけど、それを過ぎるとG2基準が得になることがわかりました。
また、電気代が年々2%上昇し、太陽光発電を載せないケースでは、22年まで低い断熱性能の方が得だけど、23年を過ぎたらG2基準、39年を過ぎたらG2.5基準が得になることがわかりました。
さらに、電気代が一定で上がらず、太陽光発電を載せているケースでは、32年まで平成28年度基準がいいが、それ以降はG2基準が得になることが分かりました。最後に、電気代が2%ずつ上昇し、太陽光発電を載せているケースでは、25年まで平成28年度基準が有利だが、25年以上40~45年までG2基準より高い断熱性能が有利で、45~50年まではG2.5基準が有利になることが分かりました。
これらの結果から、太陽光発電が載っていないケースでは、当然ながらトータルコストが右肩上がりに増えることがわかります。これは家を建てる際のコストがある上に、電気代がどんどん変わっていくためです。
しかし、太陽光発電が載っているケースでは、電気代が一定でも上がっていっても、25~50年という時間軸で考えると、トータルコストが右肩下がりになっているのがわかります。これはとても驚きですよね。違いがこんなに明確に見えるのに、なぜ太陽光発電を載せない方がいいと思う人がいるのか、不思議です。
これから家を建てる方や既築の方でも、太陽光発電を載せておひさまエコキュートに切り替えることがおすすめです。ウクライナ危機やエネルギー危機が叫ばれている中で、日本の国力が相対的に低下し、円安になると輸入はますます不利になります。そんな背景がリアルに目の前に広がっている中で、太陽光発電で上手にヘッジすることは大切です。変なミスリードに惑わされないようにしましょう。
ひろゆきさんのことを揶揄したみたいに聞こえたかもしれませんけど、前提が違ったらシミュレーションも変わるのです。さっきの松尾先生のシミュレーションは、小屋裏エアコンと床下エアコンです。個別のエアコンでやると、また数値が変わると思います。
シミュレーションは、お住まいの地域・契約している電力会社、さらに言うと電力契約のパターン、冷暖房のやり方、エアコンの容量の設定の仕方・太陽光発電の有無、何kW載せているか、自分たちがどれくらい自家消費するか、電気代の今後の上昇のリスク、断熱性能など複合的なもので、結果も変わってきます。
だから、「太陽光は絶対損だ」と言う人は、何も物事がわかってない人か、意図してお金儲けしたい人だと僕は思います。あなたの地域にとって、あなたの家の求めるものにとっての太陽光発電を、最後はプロに頼んでシミュレーションしてもらわなければ実際のところはわかりません。
結構必死に話しましたが、「納得できない」「自分の家は違うんじゃない?」と心配な人は、条件をきちんと入れたシミュレーションができる方に相談してください。全体感として太陽光は絶対プラスになると思います。
生活防衛は大事なので、頑張ってしっかり知識を吸収して家づくりをやっていただけたらと思います。ぜひ参考にしてみてください。