社長のタイプで変わる住宅業者・工務店の傾向と対策
今日は、住宅業者や工務店さんを選ぶ際の基準の1つとして、社長さんのタイプについて紹介します。題しまして、社長のタイプで変わる住宅業者・工務店の傾向と対策です。
世の中にはいろんなタイプの社長さんがいらっしゃいます。こんな風に類別してはいけないのかもしれませんが、今日は僕の独断と偏見で類別していきます。
まず1つ目に、営業系の社長さんがいらっしゃいます。元トップセールスマンの人や、大手ハウスメーカー出身、パワービルダーさんなどで成績を上げた営業マンの人が、住宅会社の社長として創業されるケースです。
この方たちは営業上がりなので、口八丁手八丁と言う感じです。コミュニケーション能力が高くて話しやすい人や、人との関係性、話し合いを重視する方が多い印象です。売りが強い、押しが強い面もあるので、時に思い切った値引きもしてくれる方もいらっしゃいます。
家の商品を選ぶ時に、「この家は売れるのか?」という視点で家を考える印象もあります。また、ちょっと失礼な言い方ですが、お客さんを見る時に「このお客さんは家を買えるのか?」という点に割とシビア・敏感な印象があります。
さらに、イケイケの営業だった人に時々いらっしゃる印象ですが、商談の中で言った・言わないという話があるケースもあります。社長がそういう方であれば、その会社の全員がそういうカラーになっていく、ということもあります。
また、少々悪口みたいになりますが、技術に関して疎い点もあります。いい意味でこだわりがないと言ってもいいかもしれません。しかし何と言っても話しやすいという点があると思います。
営業系の方と似たタイプで少し違うのが、不動産系社長です。このケースも、元不動産屋さんのトップセールスマンの方が多いです。デベロッパーという言葉がありますが、そのように土地の開発・土地の入手情報・中古住宅の情報に関して強い印象があります。
営業系の方と同じように、そのお客さんが家を買える・買えないということにはすごく敏感です。営業系の人を熱血漢と言うならば、不動産系の人はドライな印象もあるかもしれません。
しかし、例えば集合住宅を建てる場合となると、これは一種の投資案件になります。その場合、常に利回りを考えるという点では、不動産系の方は非常にいいパートナーになると思います。いい土地を探して家を建てたい人にとっては、このような社長が率いている会社は頼りになる印象があります。
3つ目が、技術系社長です。これは設計系・工務系の2つに分かれると思います。両方を兼任する場合もあります。かく言う私もこの1人かなと自分では分析しています。ベテランの設計マンや工務マンの人が会社を立ち上げるパターンが多い印象です。
このタイプの方は技術者なので、すごく話が上手かと言うとそうではありません。頑固、飾り気がない、朴訥(ぼくとつ)といった人が多い印象があります。
一方で、こだわりが結構ある面もあります。安請け合いはしない、でもきっちり仕事をする、という感じの人が多いです。特に私が思うのは、家づくりがものすごく好きな人が多い印象です。
4つ目に、技術系の1つの派生で大工さん系の社長さんがいらっしゃいます。このパターンの方は元大工さんですから、現場に強いです。施工の何たるかをよく知っています。
一方で、職人さんと言うと話しにくい、無口な人が多いのも事実です。喋りやすい職人さんもいらっしゃいますから一概に言えませんが、人によってはコミュニケーションが下手なのかな、という印象もあります。
また、これは意外かもしれませんが、痒い所に手が届くような設計はちょっと苦手と言う方もいらっしゃいます。さらに、古手の方は断熱・気密に関して疎い方が多い印象もあります。
丈夫な家を作ることができるという自負はあります。しかし、例えば耐震性では、大工さんが丈夫に作るという要件以外のポイントも関わってきます。そういう点を勘で埋めてしまっている場合もあるので、その人が大工の時代、あるいは工務店の社長になってから、どのように勉強されたのかも含めて見る必要もあるように思います。
しかし、大工さんとして工務店や住宅業者をしている方は、何より家づくりが好きな人が多いです。自分が手をかけて仕事をしてきた方ですから、手仕事に対するこだわりもあります。材料選びにも目が利いたりするという良さもあります。
5つ目に、リフォーム系の方がいらっしゃいます。これは最近出てきた方々です。異業種から参入してきた人がリフォーム業を立ち上げて、さらにリフォーム業の売り上げアップを狙って、新築やリノベーションを手掛けているケースです。
やはりそういう方は、人の懐に飛び込んでいくような思いきりの良さがありますから、話しやすい方が多いです。優柔不断なタイプのお客さんなら、「決めましょう」と言ってくれるので、物事が前に進みやすいという良さがあります。スピード感も、とてもあるように思います。
一方で、一言にリノベーションと言ってもくくりがあります。お客さんから最近特に要望されるものは、高性能リノベだと思います。しかし、高性能リノベ・高性能新築のようなものに関しては少々苦手であったり、知識が不足している人もいらっしゃる印象もあります。
しかし、スピード感や小回りの利くリフォームをなさっている方なので、アフターケアなどは細やかにやってくれそうな印象があります。
6つ目に総務系社長という方がいらっしゃいます。総務・企画・経理などの経験が多くて社長になった、管理型の社長さんです。
最近、工務店業界や住宅業界ではM&Aというものが流行っています。親会社から経営出向という形で社長さんを派遣されるようなケースでは、総務型の管理者のような人がいらっしゃることもあります。
きっちり・かっちりしていますが、あまり家づくりの矢面には出てこないタイプの方も多い印象です。一方で、ご自分がその専門性には弱いということをわかっていらっしゃいます。ですから、技術系や営業系の責任者の方をきちんと理解して、部下の力を上手に生かしています。チーム力がある社長さんだと思います。
一口に住宅会社・工務店と言っても、社長さんの成り立ちというのは結構大きなポイントです。こんな視点も持っていただいて業者さん選びをしていただくのも、面白いと思います。
それ以外感じることとして、社長さんの趣味・道楽があります。例えば車好きとか、スポーツが好きだとか、そういうものです。キャンプがものすごく好きな方、格闘技が好きな方、農業をやっている方、花・植物が好きな方、華道・茶道に精通している方、旅行が好きな方、読書がものすごく好きな方など、たくさんありますが、そういう点もお施主さんにとっては重要だと思います。
なぜかと言うと、お施主さんの好きなベクトルと社長さんの好きなベクトルが似ていると、話が弾んでいいアイデアが出たりするケースがあるからです。
車好きと言っても、一概には言えません。例えば、ベンツやマセラッティのようなスーパーカーみたいな車が好きな人もいらっしゃいます。お金儲けして人生成功したからという、トロフィーのような所有で持ちたい車好きの人です。
一方で、純粋に車が好きなんだという人もいらっしゃいます。私の友人の小暮さんも、とても車好きです。子供のように車を愛しています。ですからとても手間暇をかけています。なんせ綿棒を使ってホイールを磨くような人なので、異常なぐらい偏愛しています。
このようなこだわりの強さは、もう1つの極である「家が好き」という所の中にも発露することがあります。最近は、SNSでぽろっと発信したり、ブログでこだわりを書いている社長さんも多いです。そういう所もチェックされると面白いと思います。
また、その社長さんが創業者の方か、2代目・3代目かということによっても違います。創業者の方は、パワフルで決断力がある、押しが強い所があります。
一方、2代目・3代目の方は人当たりがいい方がいらっしゃる印象です。先代からのいい番頭さんがいらっしゃるようなこともあります。例えば押しの強い人が苦手な方や、強力な親御さんがいらっしゃってそれに対してストレスを感じているような方は、2代目・3代目さんの方が話が合うと思います。
いろんなことを言いましたが、社長さんの色はやはり社風に現れます。その会社が何を大事にしているかということは、やはり社長さんに影響されます。
もっと言うと、家づくりは社長1人でできるわけではありません。ですから、その社長さんがチームとしてどんな風に束ねているかという所も重要だと思います。
何より、社長さんご自身が本業である家づくりについてよく勉強しているかどうかが大事です。時代はどんどん変わります。技術要求も変わっていきます。その勉強を、チームネットワークとしてできているかという点も、最終的には大事になると思います。
業者さん選びでも家づくりの方向性が決まるということを知っていただければと思います。こういうことを言ってしまうと自分にプレッシャーがかかるので、今汗をかいていますが、こんなことを考えていただいたらいいと思います。ぜひ参考にしてみてください。