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夏の家の涼しさは日射遮蔽で大きく変わる

今回のテーマは日射遮蔽です。

日本の夏はすごく暑いですから、家で涼しく過ごすには日射遮蔽というものがすごく大事です。なぜ大事なのかについて解説をしていきたいと思います。

まず日射遮蔽ってわかりますか?難しく聞こえますが、太陽の光を遮断する、日差しをカットするということを指しています。一般的には、窓から入ってくる太陽の光をきちんと遮断することになります。

なぜ日射遮蔽をしないといけないかについては、板書で解説をしていきます。夏の外からの熱の流入については、偉い先生方がきちんと計測して集計されたものがあります。

簡単に絵を描いてみました。1軒の家があるとして、太陽の光というのは屋根に一番当たります。ですが、屋根から入ってくる熱の流入は意外と少なくて9%と言われています。(これは断熱仕様によって変わるので一概には言えないですが、これくらいと思ってください。)

今の家は24時間換気が義務付けられていますよね。なので、換気によっても熱が入ってきます。これは5%です。それから熱は壁からも入ってきます。家の中で、壁は一番表面積が大きいですよね。そこから入ってくる外からの熱は13%です。床から上がってくるのは2%と言われています。

そうすると、残った箇所が窓になります。では窓からどれくらい入るかと言うと71%と言われています。びっくりしませんか?

大きな家であっても、窓の面積って、たかがしれていると思います。でも、そこから熱伝導で入ってくる熱や太陽が運んでくる熱を考えると、実は7割以上もあります。なので、窓に関しては、何らかの対策が必要です。快適性の視点でいうと、窓というのは弱点になります。これは夏も冬も一緒です。

なので、夏であれば窓の弱点を補うために日射遮蔽がとても重要になります。これが、日射遮蔽が大事という理由になります。

夏期の熱の流入を見ましたので、冬の熱の流出についても見ていきますね。

まずは屋根が6%、換気が17% です。換気すると外気が入ってきますので、割と大きな数値になります。外壁が19%で、床からが10%、そして窓からは48%になります。

冬の熱の流出も聞いていただくと、夏の窓からの熱流入への対策が大切だというのが、よりわかっていただけるかなと思いましたので、説明させていただきました。

みなさん、ぜひとも日射遮蔽をしてください。日射遮蔽に関して僕がオススメする方法は3つあります。

1番目は庇(ひさし)です。庇については過去の動画でもいろいろ解説してきました。

日除けって、するのはいいとわかっていても、なかなか面倒ですよね。たまには窓を開けたいときがあっても、窓を覆う形で日射遮蔽をすると、日除けまで開閉しなくてはいけないので面倒になってしまいます。一方で庇は最初からずっとあるものですし、出っ張っているだけです。ただ、夏の太陽高度に合わせて角度を決めて取り付けるものですので、基本計画の段階でしっかりと考えていただく必要があります。

今流行りのフラットでスクエアなお家でも、窓を入り込ませるとか庇を付けるということで、日射遮蔽をしていただけたらと思います。

2つ目の方法が簾(すだれ)・シェードです。簾は日本人になじみがありますよね。それを現代風にしたのがシェードです。窓の外側に付けて太陽の光をカットする物になります。
簾もシェードも夏は付けっぱなしでいいのですが、風の強い日は畳む、冬になれば取るということが必要になります。そこがデメリットかもしれません。

3つ目の方法が外付けブラインド、通気雨戸になります。日射遮蔽の度合いで見ると、庇とか簾よりも良いです。ブラインド、通気雨戸は7〜8割以上、あるいは 9割近くカットしてくれます。庇は昼間だと日差しをしっかりカットしてくれますが、朝日とか夕日とかで角度がずれると、カットしきれないところが出てきます。そういったことに関しては、ブラインドも通気雨戸も優秀です。ただ、1つ欠点があって値段が高いです。予算の関係で、付けられる人が選ばれてしまいます。

そういったことがありますので1,2,3というランキングみたいにして紹介してみました。

夏涼しく過ごせる家が欲しい人は、断熱・気密以前に、日射遮蔽を意識していただきたいです。最低基準の断熱だとしても、日射遮蔽がちゃんとできていれば、かなり快適な家になります。

日射遮蔽に関して「カーテンを閉めたらOKなんじゃないの?」という質問をいただくことがあります。

窓の内側でも日射遮蔽する方法はいくつかあります。代表的なのはレースカーテンや内付けのブラインドです。最近は見かけなくなりましたが、内障子というものもあります。窓の後ろに障子を付けるものですね。

ただ、窓の外側で行う日射遮蔽は7〜8割カットできるのに対して、窓の内側でやる日射遮蔽は3割ほどになります。優秀な内障子でも5割くらいです。

窓の内側で行う日射遮蔽というのは、日差しはカットできます。でも熱は一回部屋内に入ってしまうんですね。そうすると空気が暖まってしまうので、冷房の効率が落ちてしまいます。効果的なのは窓の外側で行う日射遮蔽です。

最後に、内付けできるものの中で優秀なものを紹介させてください。それはズバリ、ハニカム型のカーテンです。提灯の蛇腹みたいになっていて、蛇腹の間には空気層があります。「ハニカムシェード」とか「ハニカムスクリーン」と呼ばれていることもあります。6割以上カットするダブルタイプなど、もっと断熱性能がいいものも売られています。

ハニカム型のカーテンのいいところは、冬にも活躍してくれることです。床下エアコンなどで暖めた空気が外に出ないようにも作用してくれます。

窓の内側にはハニカム型のカーテンをつけていただいて、窓の外はまず庇を上手に付けられないか検討していただいく、予算があれば外付けブラインドや通気雨戸を、予算がなければシェードや簾を付けるということができると、日射遮蔽がしっかり考えられた家になります。

ちなみにパッシブ設計における日射遮蔽は4段階あります。窓から入る光をカットする以外のこともあるんですね。

1つ目が今回お伝えした、窓に入る日差しをカットすること。

2つ目は屋根・壁を反射するようにすること。例えば、黒い壁って今流行っていますよね。
でも黒い壁って熱くなります。昔、理科の授業でレンズを使って黒い紙に太陽の光を当てて火を付けるってことをしませんでした?あれをなぜ黒い紙でやるのかというと、黒い紙は白い紙以上に反射しないからです。光を吸収するんですね。ということは夏の光も吸収してしまいます。なので、屋根も真っ黒より、シルバーや白の方が家は涼しくなります。これも日射遮蔽の1つです。

そして3つ目が断熱材です。屋根とか壁からの熱を中に入れないということです。これも日射遮蔽の1つになります。

4つ目が通気や換気によって、屋根や外壁に入った熱を素早く逃すということです。例えば、黒い壁だけど、その真裏に通気層があって、暖まった軽い空気をどんどん熱を逃がすということになります。

屋根に関しても、屋根材があって野地板があって、その下に空気層を作っておけば同じように作用します。熱は斜めにどんどん上がっていくので、その暖められた空気が逃げていくと、日の焼き込みに関しては軽減していきます。

日射遮蔽というのは、多くの人が「窓まわりの対策をしっかりしてください」で終わってしまいます。でも、日射遮蔽というのは、もう少し複合的なものです。これを頭に置いていただいて家づくりをすすめていただくと、涼しさがずいぶん変わってきますので、意識していただきたいと思います。

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