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失敗しないカーポートの作り方

今日のテーマは失敗しないカーポートの作り方です。同じ敷地内に駐車スペースをつくろうとされているなら、カーポートを検討される方が多いと思います。意外と家づくりのいろんなところに影響するものです。なので、今回は影響することを確認しながら、作り方を考えていこうと思います。

僕の板書を見てください。
カーポートというのは、柱と屋根だけで作られた簡易な車庫というのが一般的な定義です。2〜3本の柱があって、片流れみたいな形が多いです。似たものでガレージがあります。これは屋根と壁に囲まれた車庫です。個人で使う倉庫というイメージもあります。

では、なぜ多くの人がカーポートを付けたいかと言うと、メリットが5つほどあるなと思います。

1つ目が、車が汚れにくくなるからだと思います。太陽光には車の塗装を劣化させる力があります。紫外線劣化ですね。カーポートがあれば、ある程度阻止できます。

2つ目が、配置によって雨の日の車の乗り降りが非常にラクになります。家から駐車場まで距離があったら、体や荷物が雨で濡れてしまいますよね。でもカーポートがあれば、この心配がだいぶ減らせます。

3つ目が冬の霜対策です。カーポートがあれば車の窓ガラスに霜が降りるのを防げます。出勤前にヤカンでお湯を沸かして、わざわざ溶かすことがなくなります。

ここまでが大きなメリットになります。それ以外はというと、子どもの遊びや休日の作業スペースに使えることです。例えば平日にお父さんが出勤したあと車がなくなるので、そこで遊ばせることができます。小雨混じりの日も外で遊べます。あるいはDIY好きのお父さんが日曜日、車を一旦外に出して棚を作るということもできます。

5つ目のメリットが、ソーラーパネルの置き場になるというものです。最近僕の動画で、ソーラーパネルを載せた方が、将来のリスクヘッジになるという話をしました。

▼松尾式太陽光発電のシミュレーションをやってみた
https://www.m-athome.co.jp/movie/matsuo_sun_simulation

方位などが限られていると、どこにソーラーパネルを載せようか迷うこともありますよね。今はソーラーパネルが載せられるカーポートというのが結構あります。なので「これを買ってソーラーパネルをカーポートの上にのせよう!」ということもできます。

一方でデメリットもあります。

1つ目のデメリットは、カーポートは意外とホコリや吹き降りには強くないということです。カーポートがあっても黄砂とかで車がホコリまみれになっているというのをよく見ます。カーポートを作ったからと言って、車をすべての汚れなどから防げるかというと、そうではないです。

2つ目のデメリットがスペースです。カーポートを取り付けるとなると、庭に使う予定だったスペースが小さくなる、柱の場所によっては車のドアが開けにくくなる、通りにくくなることがあります。

3つ目のデメリットが家の外観に影響するということです。家が格好悪くなってしまう。これは個人的に最大のデメリットだなと思っています。家づくりをされるなら、やはり格好いいものをつくりたいですよね。でもカーポートが付いたら台無しになってしまったというケースは結構あります。普段、住宅街を歩いていても、すごく凝った外観なのに「ここに付けちゃったかぁ…」という家が結構あります。

4つ目のデメリットが、南側に作らざるを得ない場合、日射取得に影響します。モリシタではパッシブ設計をしていますので、たいてい南側にリビングを作り、窓を取って、十分な日射取得を確保しようとします。車庫とカーポート屋根があると、これらが邪魔をして部屋に十分な光が入らなくなることがあります。

リビングのようにみんなが一番多くの時間を過ごす場所の窓から外を見たら、目の前が車というのは、景色としてはあまり良くないですよね。景色として良くないのは慣れたらいいかもしれませんが、太陽光が十分に入らないというのは暖房費用に余分なお金が必要になります。

5番目は悪天候の際に壊れる危険があるということです。配置の仕方などによりますが、際風で強風が発生してカーポートが倒壊することがあります。

僕の友人で北関東に住んでいる人は何年か前に住んでいる地域が大雪になりました。そのときカーポート屋根に雪が積もりすぎて壊れてしまったと話していました。

批判ではないのですが、価格を優先してホームセンターさんですごく安いカーポートを購入される方がいます。価格が安いものは、あまり強度が高くないです。安いものを買うのは個人の自由ですが、事前に雪への強度などを確認してほしいと思います。雪というのは10cm積もっただけでも結構な重さになります。あまり雪が降らないエリアでも、年に一度大雪の日があったりしますので注意してください。

やはり3つ目と4つ目のことが、カーポートを検討する上で最大のデメリットかなと個人的に思います。

ちなみに大抵のカーポートは固定資産税の対象にはなりません。屋根が付いているから建物の面積に入ると思いますよね。でも建物の付属物ではないとみなされることが多いです。建ぺい率にも参入しないケースが多いです。これは各地方の自治体とか建築指導課の判断で変わると思うので、一般論として聞いてください。(細かい話は各エリアで確認をお願いします。)

一般的にカーポートには壁を付けることがあります。吹き降り防止のために壁をつけていても、連続して4m以上空いていなければ「建ぺい率に参入しますよ」とみなされます。あるいは柱の間隔が2m以上離れていないと壁とみなされます。天井の高さも2.1m以下にしてください、と決められていることもあります。こういったことが守られていないと、建ぺい率の緩和が受けられないことがあるので、気をつけてください。

メリット・デメリットを把握したうえでカーポートを希望される場合、何に気を付けたらいいかというと、ステップが4つほどあると思います。

1番重要なのがカーポートを考えるタイミングです。家が完成してからカーポートを考えるのはNGです。他の動画でもお話ししたことがありますが、駐車スペースは家の配置と同時に考えないといけません。みなさんに後悔してほしくないので何回も言います。

▼間取りより駐車場を優先した方が良い
https://www.m-athome.co.jp/movie/madori_chusyajyou_yusen

▼家を「間取り」から考えてはいけない理由
https://www.m-athome.co.jp/movie/madori_kangae_riyu

家の配置と同時に駐車場所が決まったら、そこにカーポートを付けるかどうか、もし付けるならどういった物を付けるのがいいのかを決めてください。この流れから外れてしまうと、先程挙げたデメリットの3つ目、4つ目が起きてしまいます。まだ間取りが固まっていないぐらいの段階で決めるのがベストです。かっこいい家を建てたいと思われるのなら、この段階で実践してください。

カーポートの形を決めるときにもポイントがあって、カーポートのデザインは2番目に考える内容になります。1番最初に考えるべきなのは、日当たりを阻害していないかどうかです。デザインを優先させたことで十分な日射取得が確保できなければ、建物の窓の位置自体を変える必要が出てきます。それはとてももったいないことです。

これらがわかったら、選んだカーポートは雪や台風に関して強度があるものなのか、を確認してください。カーポート下の一部を自転車置き場に使う人もいるはずですので重要な要素になります。

この流れに沿って考えていけば「住んでからすごく後悔した」というのは回避できるはずです。極端なことを言うと、家のデザインを優先されるならカーポートは付けない方がいいと思います。

僕が知っている建築家の人の中には、「カーポートを付けると家は絶対にかっこ悪くなるからダメ」と言う人がいらっしゃいます。都市部だと、そんなに広い敷地って確保できないので、家とカーポートが干渉することが多いです。

一方で僕の友人である工務店の社長・小暮徳行さんがいる群馬県でだと、広い土地が確保しやすいです。家とカーポートが干渉しにくいですし、選ぶ際の自由度も高いと思います。

モリシタの施工エリアだと、家と駐車スペースが近いことが多いので、デザインを優先するならカーポートは付けないというのも重要になります。

カーポートにはいろいろな形があります。駐車台数が1台なら、片持ち屋根のようなデザインを採用することが多いと思います。駐車台数が2台なら、M型・Y型・フラット型という3つのパターンから選ぶことが多いと思います。昔からよく見るのはM型です。この3つの中で一番安いですが、よほどうまく考えないとデザインを損なうと思います。

僕のオススメはフラット型です。家の配置と同時に駐車スペースも考えて、フラット型を選んで2〜3台駐車するのは有りです。ただ、それでもカーポートが家のデザインよりも目立つことがあります。もし3台駐車でカーポートを付けるなら、家のデザインはすごくシンプルにされたほうがいいと思います。主張が強いデザインだと、カーポートとセットで見たときに野暮ったい感じになると思うので注意してください。

片持ち型のカーポートにも、アーチがかかっているものがあれば、直線的なものもあります。僕の主観だと直線的なものの方が、デザイン的にはカッコ良くしやすい印象があります。(メーカーが出している材質の色目や建てる家の外観によっても変わります。)

屋根の支え方にも種類があります。引っ張って支えるようなもの、勾配を逆にして下から頬杖をつくような形で支えるようなものなどがあります。エクステリアのカタログなどで実際に確認をしてみてください。

ちなみにカーポート選びの失敗で「車が入らない」というのを時々聞きます。住み始めてから車を買い替えたときに発生することですね。時期が経ったから変えることもあれば、急に新しい趣味ができて車を購入することもあるはずです。

僕の友だちで、数年前から急にキャンプ大好きになった人がいます。彼は車の上にキャリーを付けたいと思ったのですが、それだと作ったカーポートに収まらないとわかったそうです。キャンプのたびにキャリーを付けたり外したりするのは面倒ですよね。だから高さに関しても、将来どういう車の買い替えがあるのかなというのを想定して考えていただくと良いです。

ちなみに車庫の土間というのは勾配を付けます。「屋根に水が溜まるのが嫌だから勾配を強めにしてください」と希望された結果、入口は高さをクリアできたけど、奥にいくにつれて低くなるから車の後ろ部分がぶつかるといった話がありました。アウトドア向けの車はボリューミーですよね。キャリーの件も含めて困るかもしれないことがあるので、イメージしながら計画してみてください。

なかなか想像しにくいと思いますが、住み始めてから「仕方ない」と後悔してほしくないので、いろいろお伝えしました。

まずは家づくりの最初の段階で考えてください。土地が決まった、あるいは建物の配置を決めるのと同時にカーポートを検討していただくと、大きな失敗はないはずです。参考にしていただけたらと思います。

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