ペットと暮らす家を考える
今回のテーマはペットと暮らす家についてです。
僕は子どもの頃から犬好きで、小さい頃から父の許しを得て犬を飼ってきました。でも、僕の感覚としては「ペットと暮らす」というよりも、ペットは外で飼うものだと思っている気持ちでした。
一方で、最近ある方のエピソードを聞いたり、思い出したことがあったので、今回このテーマについて考えてみようと思いました。
エピソードというのは、コメディアンで引退された島田紳助さんという方の話になります。彼が夫婦生活についてこんなことを話されていました。
子どもがいた時は、子どもがいろんな事件を起こすので、そのことで泣いたり笑ったり怒ったり、なだめたり喜んだりすることで夫婦の会話がとてもあった、と。でも子どもが巣立つと事件がなくなるという話をされていました。
このエピソードを聞いて、1つ思い出したことがあります。僕のおじさんの昔話です。
製造業をしていて、東南アジアの方に工場を作るために夫婦で現地に行って生活されていた時期があるんですね。で、異国の地なので、あまり周りには頼れる人がいなくて夫婦で協力して暮らされていたのですが、その夫婦生活にはSONYのAIBOというロボット犬もいました。そのAIBOなんですが、機械ですから寿命が来る、だんだんと壊れてしまって、修理しようと思ったら部品がなくなって、ついにはAIBOを手放さないといけないことになったんですね。その後は「AIBOロス」みたいなことを自分で言っていました。
僕はその当時は「ふーん」という感じで聞いていましたが、今、その頃のおじさん夫婦と同じ年齢になって、これまでのことを振り返ったとき「ペットって僕が思ってきたものとは全く違うものなんだな」と感じるようになったんですね。
なので、前置きがすごく長くなりましたが、今回「ペットと暮らす家」というテーマについて考えてみようと思いました。
ペットと一言で言っても、ワンちゃん・猫ちゃんのほかにウサギとか、ヤギを飼ってる友人がいたり、イグアナ、小鳥、ハムスターなど、いろいろな種類がありますよね。
今回はポピュラーな、ワンちゃん・猫ちゃんと暮らす家の特徴というか、注意点みたいなことを解説していきたいと思います。
僕のスケッチを見てください。
まずは犬です。犬には4つほど代表的な特徴があると思います。
1つ目は、やっぱり運動好きです。我が家にも今コタロウという犬がいます。コタロウも朝と晩の散歩をすごく楽しみにしていて、散歩する時間が来るとすごく催促してきます。鳴いたりクンクンしたり、ひっついてきたりしますね。
2つ目は、意外なぐらい外を眺めるのが好きということです。僕の友人も犬を飼っていて、家の中の窓から顔を覗かせているそうです。外を一生懸命に眺めてる犬というのは結構いますね。この外を眺めているのには、変な人が来ないか見張っているというのもあるけど、家の人を待っていることが多くて、お出迎え好きという面もあります。
うちの犬も家に僕が帰ると尻尾をフリフリして迎えてくれます。昔は娘たちが「パパだ!」と言って来てくれたんですが、今は娘たちが大きくなったので、犬しか僕を迎えてくれない
みたいなことになっています。
余談が入りましたが、犬は人を迎えるのが大好きですね。
3つ目は、1匹というか1人でいるのが嫌いということです。ポツンといると寂しがるところがあります。
4つ目は、どちらかと言うと寒さに強くて、暑いのは苦手なのかなということです。
一方、猫に関しては動き方が犬と違います。左右だけじゃなく上下もするので立体的です。これが1つ目です。
なので猫と暮らす家には、キャットステップ、いわゆる猫の階段とか踊り場みたいなものだったり、キャットウォークがあったりします。猫は高い所に登りたがるので、そこを歩ける所とかですね。あとはペットドアと言って、小さなドアを付けたりすることもあります。これはどちらかと言うと人間が通るというより、猫のためのものという感じがあります。
2つ目は、犬と比べると猫は狭い所好きかなと思います。狭い所にギュッと入ったりしていますよね。狭い所に1人でいるのが好きなのも猫の特徴かなと思います。
3つ目は爪とぎ。犬も爪とぎしますけど、猫は定期的に爪とぎを絶対しますよね。
4つ目が、犬と比較して寒い所が嫌いなところです。それから暖かい所が好きですね。日向ぼっこも好きです。
こういったところが犬・猫それぞれの大きな特徴だと思います。
スケッチにも描きましたが、犬は理想を言うと、リビングに土間があって、そこで人間の家族と同じように過ごしていることを喜んだり好む犬が多いと思います。
こう考えてくるとペットと暮らす家というのは、人間にとって暮らしやすい家と一緒なんですよね。すごく大仰にしないといけないかと言うと、そうでもないところもあります。
一方で飼うペットの種類・特徴によっては、そういうことを踏まえて準備をしておくと、仲良く暮らすことに繋がると思います。
まとめると犬でも猫でも、夏は涼しくて冬は暖かい家の方がいいんですね。
それから家の中で飼われる場合は、ぐるぐる回るので回遊型の間取りの方がいいと思います。それからドアは開き戸じゃなくて引き戸の方がいいです。特に犬の場合は引き戸をお勧めします。最近よく見る出羽ハンドルだと、中型犬は開けて出ちゃうというのもあります。
それからペットのトイレも設ける必要がありますよね。
人間が使うトイレとか洗面所の側につくると、換気もしやすい所なので、こういった所にペットトイレのスペースを設けるのがいいと思います。
あとはベビーフェンスならぬ、キャットフェンス・ドックフェンス。入って欲しくないところにゲートがあるといいです。
床は滑りにくい方がいいですね。オススメはタイルカーペットです。粗相をしたり、ガリガリしても、部分的に取り替えがきくので便利です。なので、室内で飼うことや過ごすスペースが決まれば、その箇所にタイルカーペットを使うことをオススメします。
どちちにしてもペットのいる小屋とかコーナーみたいなものは、人間が長く過ごすLDKのそばに作ってやる方が彼・彼女たちはごきげんかなとは思います。
キッチンは飼い主の価値観によって変わりますが、入れないようにするのならゲートなどでバリアされるのがいいです。猫だとお風呂に入って溺れるという話も聞くので、浴室の鍵を付けることも結構重要になります。
玄関の近くにサニタリーやお風呂が近いのもいいと思います。
ペットをグルーミングするのに、ペットサロンのような場所に連れて行かれるケースも多いですが、中型犬・大型犬で外だとなかなか大人しくできないとか、人見知りする子とかやんちゃな子は、家でされることもあるはずです。
なので、こういった場合は家のどこでそういうことをやるかということも考えておくのがいいです。
ここまでの話は犬好き・猫好きにとっては「そんなの当たり前ですよ」という内容だったかもしれません。でも今回この話をあえて出したのは、ペットと暮らす家というのは、後から出てくる、新しい家で暮らすようになってから出てくるニーズじゃないかなと思うからです。
僕自身の話をすると、少し前に60歳になって、ついに還暦ということで、いよいよ老人グループの仲間入りをしました。この歳になると飼っているペットの絆というのは「あぁ大きいなぁ」と心から思います。
冒頭に紳助さんの話をしましたが、大人ばかりで暮らしていると、事件が起きないんですよね。喋る話題がないという感じです。でも犬とか猫がいると、もし仮に孫ができたとして、そういったことを理由に遊びに来てくれる可能性もできるわけです。
となると、ペットを飼うというのは、自分たち家ができた後に生まれるニーズかなという気がするんです。
だから今はペットの話をされても「うちの家には全然関係ない」と思われたとしても、将来もし飼うなら「僕は犬派?猫派?」など想像してもらいながら考えてほしいなと思います。
蛇足になりますが、僕は犬に対しては厳しくて、犬は外で飼ったら良いと考えるタイプでした。だから冬でも家の外で飼うというのを信条にしてきたんですね。
ところが先日、犬をお世話してもらってる獣医さんと、こんなやり取りがありました。
「どこで飼われてますか?」という話になって『外でポンとやってますよ。僕は犬に厳しいですから』と言ったら先生は笑いながら「あぁそうですか」と答えられました。それから続けて「でもね。犬も森下さんと一緒で歳を取るから、8歳を超えたら、できたら家の中で飼ってあげてください」と言われたんです。
僕は驚いて『そうなんですか』と反応したら、先生はさらにこうおっしゃいました。
「そうすると病気をしないとかそういうことより、彼ら・彼女たちの健康寿命が伸びるんです」と。僕は最近、健康寿命という言葉にすごく弱いです。その言葉を聞いて『僕はこう思うから外で飼う』という一時の感情の話ではないのだなと。犬と一緒に暮らすという時が今まさに来ているんだなと思いました。
今、子育てで忙しい方や、これから子育てのための家づくりを考える方だと、ペットを飼うことは自分たちには関係のないことだと思われるかもしれません。でも子どもが巣立った後の夫婦の住まい、大人の住まいにはペットという心の拠り所がある方と、人生に彩りがつくなと僕自身すごく思うようになりましたので、今回はこんな話をしました。今後の暮らし方の参考になればうれしいです。