後悔しないアイランドキッチンの作り方
今日のテーマはアイランドキッチンです。
「これ憧れなんです!」とおっしゃる奥様方、多いですね。打ち合わせをしていて、そういう話が出たら、僕たちとしても「ぜひ叶えましょう!」と思います。でも実際につくってみると、後悔というか、“アイランドキッチンあるある”みたいなことも多いんですね。
モリシタ・アット・ホームのグループにはリフォームの部門があって、完成したお家に行くと特によく見る“あるある”があります。まずは、その事例をお話したいと思います。今から話すこと、人によっては気を悪くされるかもしれません。でも「こういう事例が多いんだなぁ」と思って、許してください。
僕のスケッチを見てください。まず1つ目の“あるある”は、素敵なアイランドキッチンの上に物がいっぱい広がっている光景です。アイランドキッチンには1つ弱点があって、見た目はかっこいいんですが、台所仕事をする場所なので、ものが広がりやすいです。料理するときなんかは、食べ物出して、調理器具出して、食器を出さなアカンから、キッチンの上はすぐゴチャッとしてしまいますよね。
食事が終わったあとは家族みんなの食器が一気に集まります。片付けとか掃除に時間を掛ける余裕があればいいですが、みなさんお忙しいですから、ものが溜まりやすいサイクルに入ってしまうことの方が多いです。なので、ゴチャゴチャしてしまうんですね。
2つ目の“あるある”は、油汚れとかが周りに広がることです。揚げ物とかをすると、油が結構飛び散ります。なので立ち上がり部分とか床面とか、こまめに拭いておかなアカンというケースが多いです。あとは水が飛ぶ、というのもよく聞きます。たまにご主人が片付けを手伝ったとき、お皿の泡を水で流してたら、当てる角度間違えて、水が跳ね返って、ダイニングの床濡らしてしまった、みたいなケースですね。それで、めちゃくちゃ奥さんに怒られたという話もよく聞きます。憧れのアイランドキッチンには、こういった“あるある”があります。
そういう現実がある一方で、「いっつもキレイにしてはるなぁ。この奥様すごいなぁ」と思う方もいらっしゃいます。その人はキレイ好きというのもありますが、よく見ると、ちょっとした秘密があります。そのことを話す前に、まずは、みなさんに、お聞きしたいことがあります。「そもそもアイランドキッチンが欲しいのは、どうしてですか?」ということです。
僕が世間話とかインタビューした結果、一番多く出てきた理由は「かっこいい・憧れ」ということです。2番目に多いのが、家族の姿が見えること。台所仕事って1人で黙々とやる面もあるので、子どもや家族の姿が見えたほうが安心、という理由ですね。あとは食事終わった後「パパと子どもはテレビ見てるのに、私だけ見れへんのは、なんか寂しいんやん」っておっしゃっていた方もいます。
で、アイランドキッチンをつくったのですが、さっき出てきたような「片付けにくい…」といった問題が出てきて困ってしまうんですね。なので、これからアイランドキッチンをつくる方には、対策を立てていただいた方いいと思います。
ここで、キッチンをいつもきれいに保っている奥様の話に戻ります。答えは、キッチンのすぐ後ろに大量量でフルオープンの収納をつくることです。アイランドキッチンというのは値段が張るので、収納をつくることにまで予算が取れない、ということが多いんですね。
なので、前の家で使っていた食器棚をそのまま持ってくるのですが、収納量が足りないとか、フルオープンではないので、片付けしにくい状況が生まれてしまいます。アイランドキッチンの良さを享受しつつ、片付けしやすくするには、大量量でフルオープンの収納も一緒につくることが必要です。
あとは、コンロの前に強化ガラスをつける。これは油の飛びはねを抑えるためですね。人によってはL型の強化ガラスを設置することもあります。これは壁にするとアイランドキッチンの良さが半減してしまうので、ガラスがおすすめです。家族の姿は見えるようにしつつ、汚れの広がりを抑えて、掃除もしやすくなりますからね。
これは異論があるかもしれませんけど、立ち上がりを作る。そうすると難しいですね。前側は深さがあるから立ち上がり作っても…というところがあるので、これは完全なアレじゃないですけど少しそういう風にしておいて手元が少しでも見えることの緩和みたいなことも手かもしれませんね。
あとはアイランドを諦める、というのも1つの手だと思います。準対面キッチンに変更する、というのも悪くないと思います。
でも「それでも私はアイランドキッチンが良い!」という人には、最後にもう1つ注意していただきたいことがあります。アイランドキッチンというのは奥行きが深くなるので、
通常のキッチンと比べてシンクの前の空間が広くなります。その空間を調理台とか配膳台として使えます。なので、相対的に左右は狭くても大丈夫です。
一般的なキッチンは2500〜2700mmが多いですが、その広さでやると両側に通路がいるので、間口の広いリビングダイニングが必要になってしまいます。構造的にも面積的にもコストが掛かりやすくなりますから「幅は最低これぐらい必要」というのも知っておいていただければと思います。
今、I型のキッチン使ってる人は、その感覚値が残ってるので「広めじゃないとダメ」と思いがちです。でもメーカーさんのショールームとかで実際に立っていただくと「こんなに広くなくても大丈夫」とか分かったりするので、ぜひ実践してみてください。
家づくり平面先行で、間取りが確定してからキッチンを落とし込んでいく流れになりやすいのでね。少し注意していただければと思います。
今回いろいろ言いましたが、僕は決して「夢を諦めてください」と言っているワケではありません。アイランドキッチンを希望されるのであれば、対策だけは忘れずに、ポイントを押さえてつくって欲しい、というのが僕の意見です。これをお伝えしたかったので、長々としゃべらせてもらいました。今回の内容を頭に置いていただいて、素敵なアイランドキッチンを完成させていただければと思います。