YouTubeで家づくりの勉強をされている方へ
今日はYouTubeの動画をしっかり見られて、家づくりの勉強されている方に向けて、お話したいことがあります。
今、YouTubeでは有名な工務店の社長や大学の先生、僕の師匠である松尾先生のような
設計士の先生など、本当に色々な方が家づくりの話をされていますよね。一昔前だったら知る由もなかったような情報とか、プロの一部でさえも知らなかったような情報を、今は一般の方が勉強されて、知識として身に付けています。これはすごく画期的な事です。その一方で、情報が溢れているが故に、気をつけてほしいなと思うことも出てきました。今日はそのことをお伝えします。
まずはみなさんが、YouTubeなどで家づくりのことを勉強される理由を改めて共有しておきたいと思います。理由はハッキリしていて、自分たちにとって理想の家を建てたいから勉強をされているんですよね。すごく志の高い人です。そうした方が、YouTubeで知識を得たあと、どうするかと言うと、具体的な行動に移していきますよね。設計士の方や、施工会社、職人さん、ハウスメーカーさんなど、パートナー選びをされるはずです。この時、知識をたくさん得たりとか、大量の情報を浴びたが故に、話を聞けば聞くほど「何が正しいのかな?」とか「一体誰の言うこと信じたらいいのかな」と不安になる部分も出てきます。また、自分の理想がどんどん拡大してしまって悩まれる方がいらっしゃいます。よく見られるのは、パートナー選びの際に途方もない要求を持って来られるとか、知識があるからこそ、ちょっとしたやり取りの中で強い猜疑心を持たれてしまったり、やりたいことがありすぎて優先順位がまとまっていないケース。これは僕らのような作り手の立場からすると、どうしてあげたら良いのかなと戸惑ってしまいます。
僕は、そうした方と出会ったら「パートナー選びの前に、まずはこれを実践してください」とお伝えしています。その内容は、ご家族やご夫婦の人生における優先順位の確認です。
みなさん、いい人生を過ごすために家づくりされると思うんです。でも、家づくりというのは、「人生」と言う大きい枠組みの中で言ったら一部でしかありません。例えば僕はね、仕事優先の男です。だから仕事とか働き方というのが、人生の中で、とても大きなウエイトをいます。僕の妻は、子どもをどうやって育ていくかが、とても大きなウエイトを占めています。人によっては「フェラーリやポルシェみたいな車に絶対乗りたいんや」という感じで、車に対しての優先順位が高い人や、旅行が好きな人、ソロキャンプ好きとか、絵やバイクが好きとか、趣味が大きなウエイトを占めている人もいらっしゃいます。どれもお金が関わってきますよね。なので、例えば立派な家を建てたとしても「子どもの大学資金が足りない」とか「好きな車に乗れなくなった」とか「趣味の方にお金掛けられなくなった」となってしまったら悲しいし、苦しいですよね。そういう人は、家とは別のものの方が優先順位が高い人です。この優先順位がハッキリするとね、家づくりに掛けてもいい上限金額というのが分かります。上限金額を明確にするために、人生における優先順位の確認というのがとても重要になるんです。
一方で、これから建てる人には理想があります。知識を得たからこそ「こうあらねばならない」といった気持ちも大きくなっていると思います。でも、自分の人生には優先順位がありますから、家づくりに掛けてもいい上限金額もある。この中でバランスを取らないとアカンですよね。バランスを取らないまま、業者さんのところに訪ねて行っても、実現が難しいから作り手は戸惑うし、場合によっては、時間の無駄になってしまいます。これはお互いに悲しいことですよね。なので肝心なのは「バランスをどう取るか」です。
僕ら住宅会社はプロとして、バランスをどう取ったらいいか、どう進めたらいい塩梅になるのか、という感覚を持っています。お施主様ご自身の中にも思い描いているバランスの取り方がありますよね。僕ら作り手には、是非実現したい、応援したいという気持ちがありますから、どう辻褄を合わせていくかをすごく考えます。
家づくりでお金の話になると「資金計画」って言葉が、よく出てきますよね。この言葉を聞くと、一般的には「住宅ローンを何選んだらいい?」とか「どこの銀行がいい?」とか「固定金利がいいの?変動金利がいいの?」といった話題になると思います。でもね、僕からすると、そんなもんは資金計画の最後の方の話です。資金計画というのは、絶対に人生の優先順位の明確化から始めるべきです。これをハッキリさせて、上限金額を決めなかったら、ローンの種類の話をしても、正直言って意味がないです。枝の話でしかないんですよね。
だから、知識を得るために日々YouTubeで勉強されている方はね、知識がある程度たまって、パートナー選びのステップに移る前に、まずは自分たちの人生の優先順位を確認してください。それで、自分たちの家づくりが、どのあたりにあるのかを確認してください。回り道のように感じるかもしれませんけど、家づくりにかけていい上限金額を明確化しないとダメです。
現場を預かる身としてはね、予算掛け過ぎの人もいれば、お金を掛けることに恐怖があって抑えすぎの方、どちらもよく見かけます。そういう時こそ、経験がたくさんある僕たちの出番だと思います。うまくバランスを取れるようにサポートしていきますので。
これらを踏まえてパートナー選びしていただくと、ちゃんと納得しながら家づくりができると思います。
僕らはね、担当したお客様に「アンタに任してよかった」という台詞をもらえたら、とてもうれしいんです。「僕のやりたい家づくりができて良かった」って言ってもらえるように仕事していきたいんです。住み手も作り手も、お互い、良かったと思えるのが一番です。だからこそね、YouTubeしっかり見て、真面目に勉強されているみなさんには、「人生の優先順位の明確化」「家づくりに掛けていいお金の明確化」をしてほしいと思います。回り道に思えるかもしれませんが、僕は絶対にすべきことだと考えていますので、ぜひ参考にしてください。