コロナで手洗い場の在り方が変わる
今日のテーマは手洗い場についてです。
2020年はコロナウイルスの影響で、僕みたいなガサツな人間も生活のスタイルが大きく変わりました。1つが毎日マスクを付けるようになったこと。もう1つが手洗いと消毒をしっかりするようになったということです。
また、このコロナ問題で一番感服したのが、この冬のインフルエンザの感染者数です。うろ覚えですが、例年だったら一定の期間に4〜5万人という人がインフルエンザになるそうです。でも、この冬は100人前後ぐらいにとどまっているようです。学者さんの見解だと、みんながマスクをちゃんとして、手洗い・消毒もきっちりしていることが関係しているそうなんですね。
インフルエンザの流行が収束しても、手洗いの大切さとかは人々に刷り込まれて、今後は家づくりに対しても影響を与えるのではないかと考えています。
コロナで生まれた「新しい生活様式」ということも絡めて、今日は手洗いについて一度考えてみたいと思います。
まず、コロナの出来事を受けて、家の玄関付近には手洗い場が必要だと考えています。僕の家は20年近く前に建てた家で、玄関は結構広いですが、手洗い場はありません。アルコールスプレーは置いてあって、帰宅したときに使っています。でも、満員電車に乗って帰ってきた時や人がごった返しているような所で買い物したときなどは、ここで手を洗いたいなって気持ちになるんですね。ただ、手洗いができればいいので、そこまで大きなものでなくていいと思います。
玄関にはいろいろなタイプがありますが、この1坪ぐらいの玄関というのは結構よく見ます。例えばこの玄関なら、ドアを開けて入ると下駄箱があります。その横に小さな手洗いつけても良いですね。手を拭くためのタオルは、シンクの下にバーを作って掛けておきます。これは省スペースの玄関でも実現しやすいです。
最近モリシタでは、省スペースな玄関おすすめしています。框(かまち)を斜めに配置すると、スペースを広く取らなくても使い勝手のいい玄関ができます。斜めの框に加えて、ここにある程度の段差つければ、ベンチのように使えてブーツとかを履く時に便利です。ここが少し広くなるので、ここを手洗い場に活用するといいと思います。
これはあくまでプロトタイプなので、みなさんが間取りをいろいろと考える時のベースにしてください。
もう少しスペースに余裕があれば、こういう感じの玄関をおすすめします。この絵では、玄関ホールをすこし広めに取っています。
こういう感じで、ここから直接リビングに入っていけます。こちら側に扉を作っておけば、脱ぎっぱなしの靴が隠せます。急にお客さんいらした時などに隠せて便利です。そんな風にして、手洗い場はここに作ります。
しっかりした手洗い場も置けますし、まだスペースがあるので、こちらにコート掛けを置いてもいいですね。これは花粉のシーズンに重宝します。家に帰ってきて、ここにコートを掛けてしまえば、部屋に花粉を持ち込まなくて済みます。さらに同じ場所で手洗いまでできるので快適だと思います。
これからの時代は、玄関と手洗い場をセットで考えることをおすすめします。省スペースもできる方法もあるので、ぜひ頭においてもらえたらうれしいです。
今回は手洗いについて話しましたが、お手洗い、つまりトイレについても考えたいと思います。
「お手洗い」と言うぐらいなので、手を洗う場所としての意味も含まれていますが、意外に今の日本の標準的なお手洗いは、“手を洗う”機能がおざなりになっています。
一般的には、このような手洗い兼用器が多いと思います。これは僕らも、コストが抑えられてコンパクトなので長くおすすめしてきました。でも、このwithコロナの時代だとトイレは一番ウイルスが広がりやすいところになります。仮にウイルスが付いた状態で帰宅して、飛び散ったものをきれいに拭いて、最後流したとしても、自分がしっかり手を洗わなかったら意味がないんですね。この形では、手をしっかり洗うというのがやりにくいです。
これからの暮らしで、家族の安全を考えるのであれば、便器はタンクレスのものにする。そして手洗い場は別に作るというのが良いです。
そのパターンを、今日は3つほど解説します。定番は1畳サイズに、こういう便器を置いて、こういう風に手洗いを作るもの。これは省スペースでも作りやすいです。
もう1つが、こっち側に手洗い持ってくるもの。1つ目の方がおすすめですが、2階などに作る場合は、こちらのパターンでもいいと思います。
3つ目が、奥行きが取れる場合の考え方。こちら側にカウンターみたいな感じで持ってきます。ここには掃除用具とか消毒用のアルコールスプレーも格納できます。
こうした手洗い場の機能が充実したトイレを考えるときは、トイレ寸法と扉の付け方に注意してください。。
トイレの有効寸法については、最低でも75cmは確保してください。これ以上狭くすると体の大きい人などは使いにくくなります。逆に90cmより大きくすると、ペーパーホルダーに手が届かなくなる可能性があります。
広く作ったのはいいけど届かない、という結果になるので最大90cmというのは、ぜひ覚えておいてください。
将来、車椅子になったときの取り周しを考えて、一坪二畳分のトイレという人も結構いらっしゃいます。
その場合は、扉の場所に注意してください。特にドアを開けて正面に便器があるパターン。家のトイレだとうっかり鍵しない時があったりしますよね。同じスペースでやるのであれば、こちらを手洗いに、こちらに便器を置くのが良いと思います。プロの設計士であれば、このあたりのこともしっかり考えると思いますが、自分たちでも注意していただければ、使い勝手のいいものができると思います。
これは僕が昔の日本人だからだと思うんですが、手を洗うことは、清めのような意味合いがあると思うんですね。日常生活の中で手洗いというのは、ちょっとしたことかもしれませんが、そうしたことを大切にするのも人生の豊かさにつながるのかなと、しみじみ感じています。
みなさんには、そうした視点も持ちながら、家づくりを考えていただけたらと思います。